夜のお茶のお供に。

先日、ハワイのオアフ島にあるハレイワという町へ行ってきた。
そこには2年前に訪れたときに見つけた小さな手作り石けん屋さんがあり、今回もそこに行きたいと思った。しかし、以前あった場所には跡形もなく、「小さいお店だったし、無くなってしまったのかな、」と半ば諦めかけた頃、ダメもとで聞いたお店の定員さんが、「あっちの方へ移転したらしい」と情報をくれた。そちらの方へ行ってみると、店のドアの隙間から、なにやら良い香りを漂わせている、かわいらしいお店を見つけた。「ここにちがいない!」と確信し、中に入ると、石けんだけではなく、あらゆる香りに関するグッツが、所狭しと並べられている。店の奥は工房になっているらしく、天井まである古い木の棚には出来たてのカラフルな石けんが積み重ねられ、アメリ似の女性が一人、裸足で黙々と作業をしている。その様子があまりにも圧巻で、私はつい、工房の方へ入れさせていただくようお願いした。作業台の上には、様々な大きさの型が置かれ、今まさにロウソクの制作中である。「2年前はもっと小さなお店で、ロウソクなんて作っていませんでしたよね」と、興奮気味に、つたない英語でしゃべりかけると、彼女はうれしそうに「これだけ大きなスペースになって、色々出来るようになったの」と教えてくれた。それから、香りのブレンドはすべて彼女が考えるのだとか、一日に数個しか作れないのだとか、ラッピングの紙もすべて彼女のセンスで選んでいるのだとか、細部に渡って、彼女のこだわりがあることを教えてくれた。最後に、アロマオイルの並んだ戸棚から、おもむろにひと瓶取り出し、「これは、私が一番好きな香り。気持ちがリフレッシュするの」と、首筋に塗ってくれた。ペパーミントの香りが、すーと顔全体を覆った。「でも、寝る前はダメよ、興奮しちゃうから。寝る前は、カモミールがいいわ。」とも教えてくれた。
せっかくなので今回は、ロウソクも買ってみよう。
その夜、寝る前の微睡んだ時間に、お茶を一杯用意して、石けん屋で買ったロウソクを付けてみた。すると自然と、皆が思い思いの飲み物を持って集まってきた。一つの光を囲んで、お互いの顔がぼんやりとしか認識できない距離で話しが始まった。まるで、修学旅行で、就寝時間後に、懐中電灯の明かりを囲んで、ひそひそとお互いの恋愛話しとか一歩踏み込んだ話しをしたときのようなワクワク感が、そこにはあった。
ロウソクの火がだんだんと頼り無くなった頃、時計はすでに午前4時をまわろうとしていた。お土産で買ったロウソクを使ってしまったわけだが、まったくもったいない気持ちにはならなかった。むしろ、一日に数個しか作れないロウソクの一つが、あんなにも良い時間を提供したことは、きっと彼女にとって本望だろう、と感じた。
ちょっと深い話しをしたい夜に、カモミールティーとロウソクの明かり。香り好きなハワイの一女性からの提案である。








