« 2006年03月 | メイン | 2006年05月 »

content_top.gif
2006年04月30日(日曜日)

停滞期と活動期

060429kawag.jpgだれの人生にも、次々に動きがあって活発な時期と、大きなできごとが起きずに停滞しているように見える時期とが、交互に訪れるものですね。

ものごとが思うように進まない時期を、私たちはしばしば低調期とか、不運期などと呼んだりしますけれども、じつは決してそうではないのだなと最近考えるようになりました。一見冴えないこの時期こそ、たっぷりと「ためる」ことができるのです。

自分自身を前後左右から念入りに眺めてみる。
音楽や映画や本などを時間をかけて味わい、反芻する。

いずれも、日々の動きがめまぐるしい時期には難しいことです。のんびり腰をおろして栄養をためられる時期こそ、じつは小さな幸運の種をまいて育てる「準備期」なのかもしれません。準備期にきちんと養分をたくわえておかないと、次にめぐってきた活動期に体力が足りなくなって、息切れしてしまいますよね。

このごろ何をしてもぱっとしなくて……そんなふうに感じている人がいらしたら、無理にものごとを動かそうとせずに、贅沢なくらい自分に養分をあげることをおすすめしたく思います。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月26日(水曜日)

表参道ヒルズでリッチなデザート時間

雨上がりの新緑が艶やかで美しい季節となりました! 街中を散歩していると、思わず深呼吸したくなりますね。

先日、表参道を散歩していると並木から若々しい萌黄色の葉が出て、思わず上を向いて歩いてしまいました。新緑にあふれる表参道を散歩がてら“表参道ヒルズ”に行ってきました。

OPENしてすぐに立ち寄った時は、あまりに混雑していて、まるで観光地状態。
とても見て回る気にならなかったのですが…平日の夜に限っては、ずいぶん人出も落ち着き、本来の表参道ヒルズのコンセプトである“大人の雰囲気”になりつつあります。友人とウィンドーショッピングしつつお茶してきました。

表参道ヒルズのスイーツ関係のお店としては・・・
表参道の並木を見ながら和める「表参道茶寮
和菓子の老舗“両口屋是清”がプロデュースする「R style
新たな和テイストのスイーツを提供してくれる“とらや”のブランド「トラヤカフェ
パリの世界トップショコラティエ「ジャン=ポール・エヴァン
イタリアの家電メーカー『デロンギ』のカフェ「デロンギカフェ
美しくジェラートを盛り付けてくれる「ジェラテリア バール ナチュラルビート」などがあります。

2006_0421_210636.jpg
今回「デルレイカフェ アンド ショコラティエ」に行ってきました!

6年ほど前、北ベルギーの都市アントワープを訪れたことがあります。
アントワープはダイヤモンド取引の中心地で、街を歩けばダイヤモンド専門店が立ち並びます。宝石店に紛れ「デルレイ」がありました。ショーウィンドウには、ダイヤモンドの形をしたチョコレートやケーキが並んでいるのが印象的。日本の店舗は洗練された現代的なお店というイメージですが、アントワープ本店は地元の人々に愛される小さなお菓子屋さんという感じ。

表参道ヒルズ店はハイクラスな雰囲気。バカラで特注したというチョコレート色のシャンデリアからは柔らかな光りを放っていました。そしてまっ白な革張りの椅子、上質なリネンのテーブルクロス。カフェというより“フレンチのフルコースを料理なしでデザートのみいただく”という気分です。


2006_0421_210832.jpg

そして気になるメニューは…
■デルレイ オリジナルクレープ ロワイアル 自家製プレミアムアイスクリーム添え(限定10食)¥2730

いわゆるクレープシュゼット+華麗なデモンストレーションです。

オレンジの皮をリボン状にむき、そこにリキュールを伝わせて火をつけてくれました。
青白い炎がオレンジのリボンを伝って流れてゆきます。

またブランデーに火をつけフランベする際、炎が立ち上がり周囲から歓声がおきました。
(スタッフの方、顔大丈夫でしたか…?>>衝撃写真

目の前でサービスしてくれるからエキサイティングするのはもちろん、その味わいもひとしお! デルレイオリジナルラズベリージャムが添えられ、とろけるクレープの味わいにオレンジの風味がたまらない美味しさでした。

■ショコラショー(ダーク)¥1890
ショコラショーはミルク、ダーク、ハイカカオの3種ありましたが、ダークをオーダー。濃厚なコクと、ほどよい苦味。飲むたびに友人と溜息交じりでいただきました。
リッチな雰囲気にうっとりした私たち。

実はこの日「夕飯は軽めに食べて、デザートだけゴージャスに行こう。」という計画で、気軽な中華を食べた後に『デルレイ』へ行ったのです。お酒があまり飲めない友人とは、このコースいいかも…! 

GWは混雑するかもしれませんが、お散歩がてら“表参道ヒルズ”に立ち寄ってみるのも良いかもしれませんね。

*GWはお休みで次回私のブログ更新は5月10日(水)となります。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月24日(月曜日)

中国茶の他に好きな飲み物

ウィルキンャ・ src=中国茶の他に好きな飲み物…というと、私の場合は(やっぱり)お茶関連やフレッシュジュースなどに偏っています。そんな私にも、唯一(?)と言っても過言ではない、好きな瓶ジュースがあります。

それはジンジャエール。それも、「ウィルキンャ謄という銘柄指定。

ジンジャエールは生姜(ジンジャー)の炭酸水ですが、甘すぎて物足りなさを感じている方には是非お薦めです。ピリピリ辛い、生姜らしい炭酸水。なかなか店頭では見つけられないので、私はネットで業務用のごとく大量にまとめ買いしてストックしています。

しかも、「ドライ」タイプもあって、そちらの方が辛すぎず飲みやすいのが特長。私は気分にあわせて飲み分けたいので、両方とも揃えているほどのファンです。(写真、左側の濃い色は通常タイプ。右側の明るい色はドライタイプ。)

もともと、ウィルキンャ唐フジンジャエールは日本に定住していたクリフォード・ウィルキンヮ≠ェ偶然にも兵庫県で狩猟をしていて天然の炭酸鉱泉を発見したところから始まったそうです(1889年)。117年前にもさかのぼる歴史のある日本の銘柄なんですね!

味にうるさいバーテンダーの間では定番にもなっているそうですよ。
また、生姜はプロテアーゼという酵素が含まれるそうで、肉を柔らかくするらしいです。(そういえば生姜焼きのお肉は柔らかいですね~!) いつも、スペアリブなどはビールやコーラなどで煮込んでいましたが、今度はウィルキンャ唐フジンジャエールで煮込んでみようかな・・・と考え中。料理に余計な甘さが付かないのは、嬉しいですね。

もちろん、空き瓶はメーカーへ返してリサイクルしましょう♪
販売店によって、瓶の回収で瓶代を返してくれたりくれなかったり・・・色々あるみたいなので、調べてから購入するのも賢い使い方ですね!

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月23日(日曜日)

大統領の猫たち

060422kawag1.jpgクリントン大統領の愛猫だった「ャbクス」は、おそらくホワイトハウスに住んだ歴代の猫たちのなかでいちばん有名な猫ではないでしょうか。つややかな黒い毛なみをして、四本の足先が靴下を履いたように白かったことから、ャbクスという名前がついたそうです。

ャbクスと、クリントン大統領のもう1匹のペット、ラブラドールのバディ君のあいだの因縁の戦いをメディアがたびたび話題にしたせいでしょうか、ャbクスのファンは今でも多いようで、ホワイトハウス公式ペットサイト(?)「Presidential Pet Museum」には、ャbクスのぬいぐるみやハンガーが並んでいました。

ディアー・ャbクス、ディアー・バディ(ヒラリー・クリントン著)』という本には、全米各地の子どもたちからャbクスとバディにあてられた手紙と、歴代大統領たちに愛されたペットの歴史がまとめられています。子どもたちの手紙には「ディアー・ャbクス、あなたは犬に襲われないようシークレット・サーヴィスに守られているのですか?」などといった質問が並んでいて、なんだかほのぼのとしてしまいします。

もうひとりの猫好き大統領といえばルーズベルト。彼の愛猫の名前は「スリッパ」! スリッパは、みんなが行き来する廊下のまんなかに寝ているのが大好きな猫だったそうです。

060422kawag2.jpgなぜそんな猫たちのことを書いたかと申しますと、私の心をとりこにしてやまない公園猫のQ太郎が、やっぱり足先が白いャbクス柄だからなのです。最強のいばりんぼ猫であるQ太郎は、まぶたの上に勢いよく跳ね上がった眉毛が真っ白に輝き、いばり具合をいっそう強調しています。

見れば見るほど怖い顔のQ太郎。しかし、顔が怖くてふてぶてしくて甘ったれの猫は、ひとたび好きになると、かわいらしい顔をした猫の何倍もいとおしいものなのです。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月19日(水曜日)

春と冬

2006_0419_094953.jpg

春うららな日が続き、気持ちよいですね~。
「一年中、春だったら良いのに!」と思うけれど、寒い冬があるからこそ、春の心地よさが倍増するのでしょうね♪ 人生も春があったり、冬があったりするから楽しいはず。

ここ最近、重大な悩みを打ち明けてきてくれる友人が急増中。
10代、20代の頃は恋の悩みが多かったものの、30代ともなると、悩みも様々。人には言えないような深くて辛い悩みが多いのです。

「40、50、60代になったら、もっと色々なことがあるわよー」と笑いながら言う母。うーん…笑顔だけに怖い。重みがあります…。人生色々ですな。

でも皆大人だから楓ハでは元気に振舞い辛さを隠している。
逆に辛いことを経験したことがある人ほど、心が強く、人に優しかったりします。
そんな友人たちを尊敬し、見習いたい…!

辛いことがあってもヘラヘラ笑いがちな私は「いつも楽しそうで悩みなさそう~」
とよく言われ、箔V気娘に見られがちでショックだったこともあったけど、今はそんな私も良いかなと思うようになりました。

結局、誰でも何かしら悩みを持ちつつ、楽しく過ごす方法をどうにかして見つけ出しています。もちろん、その方法を見つけ出せず、自分をコントロールできず、さらに辛い思いをしている人もたくさんいます。
でも焦らずちょっとずつ春を見つけていこうね~!

*写真は実家で咲いた牡丹の花。ゴージャスかつ艶やかな花です。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月17日(月曜日)

アーティストの考えていること

MOLESKINE週末は渋谷→新宿→銀座…と行脚しました。
何のために…?というと、書店で開催されているというアーティストが実際に使った直筆のメモやアイディアのノートを見られるエキシビジョンを見るために!です。

都内3店舗で開催中ですが、各店で異なるアーティストの直筆ノートがあって、それぞれ26~29人のノートが展示されています。ビニール・グローブをはめて、実際にページをめくりながらジックリ読んだり眺めたり出来ます。(過去も含めた、参加アーティストの一覧≫

渋谷店には俳優の浅野忠信さんのノートもありました。古くは、ゴッホ、ピカメAヘミングウェイ…などのアーティストたちも愛用したというMOLESKINEのPRなのですが、数々のひらめきや形にならなかったのかもしれないアイディアの卵たちをジックリ拝見できる機会は、店頭で体験するにはとても有り難いイベントだなぁ~と思いました。(5月7日まで開催)

相田みつを「道」帰り道、せっかく銀座まで足を運んだのだからと、東京国際フォーラムにある相田みつを美術館にも立ち寄りました。こちらは「道」をテーマにした企画展『道への道』を開催中。書家として、詩人として…こちらもアーティストの考えたことを拝見する良い機会です。(企画展は7月9日まで)

大学時代に「選ぶべき道がたくさんある、選択肢があるうちは若いということだ」と恩師に教えられ、これまでも迷いが生じた時は「まだまだ若くて未熟なんだ」と自覚してきましたが、相田みつをさんの見つめてきた道は、若い頃から不器用に真っ直ぐで、一本道を進むしかない…といったガンコで男気を感じるものだったのだなぁ~と新しい視点を垣間見ました。

一日中アーティストの思考を追いかけていたら、ちょっと脳が疲れてしまいました。「こんな時こそ・・・」と立ち寄った中国茶の飲めるお店。香り高い凍頂烏龍茶でゆっくり鼻腔をいたわりながら、乾いた喉を湿らせて深く深呼吸。そっと目を閉じると、時空を超えたアーティストたちの熱い思いが次々と思い出され、自分には何が出来るのかと考えさせられるのでした。

いずれもゴールデンウィーク中も開催していますので、遠方の方も都内へお越しの機会があればご覧になってみてはいかがでしょう。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月16日(日曜日)

インプット/アウトプット

060414kawag.jpg仕事上で初対面の方々と雑談をする機会がありました。その方々の弁の立つこと! 頭がすばらしく機敏に回転してユーモアもたっぷり。私はほれぼれと聞いて感心したり、爆笑したりするばかりでした。

「頭の回転が速い」と言われる人々は、いったい何がそんなにもスピーディーにくるくると回転しているのだろうと考えてみるに、インプット/アウトプットの切り替えが数秒おきにおこなわれているようです。

人とやりとりをするとき、相手の話を聞く=インプット、自分から話をする=アウトプット、とすれば、「回転の速いひと」は相手の話を聞くインプットモードが終わると、ただちに自分が発言するアウトプットモードに切り替わっているのです。

状況によっては、他のひとの話を全然聞かずにしゃべり続けるアウトプット優勢のひともいるし、この場合の私のように聞いて感心するばかりのインプット優勢のひとも出てくるわけですね。

しかし、このインプット/アウトプットのバランスは、食べ物と消化の関係に似ています。アウトプットばかりしていてインプットを入れないとエネルギーが枯渇しますし、インプットばかりしていてアウトプットを出さなければ思考の便秘状態に陥ります。

おそらく私の場合は、インプット/アウトプットの切り替えが速くないかわりに、インプットをまとめてゆっくりと噛みしめて、あとで文章にしてアウトプットを出し、バランスをとっているのだなあと、あらためて自分を知った気がしました。スマートではありませんが、これが性分なのでしょう。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月12日(水曜日)

週末は復活祭!

寒の戻りでしょうか。寒い日が続きますが、皆様風邪など引かれていませんか?
季節の変わり目くれぐれもお気をつけてくださいね。
こういう時こそ、温かな中国茶でも飲んで、のんびり、まったりとした時間を過ごしたいものです。

2005_0324_150708egg2.jpg

さてさて今年は4月16日 (日)が復活祭です。この復活祭、各国の言葉により呼び方が異なります。例えば一番よく知られているイースターは英語でEaster。
スペイン語=Semana Santa、ラテン語 =Pascha、イタリア語=Pasqua 、フランス語=Paques ノルウェー語= Paske、スウェーデン語=Pask、アイスランド=Paskeなどなど。

昨年は復活祭の時期、アルゼンチンにいました。スペインの移民が多いアルゼンチンでは、この復活祭の時期をスペインと同様「Semana Santa(セマナ・サンタ)=聖なる週間として盛大に祝います。アルゼンチンの首都、ブエノスアイリスの街中にも、たくさんの卵型のチョコレートが並んでいましたよ。(写真)

2005_0324_150434egg.jpg


「復活祭」は“卵”というイメージがあるけれど、「復活祭って何?」となると、キリスト教徒でもないかぎり知らないことが殆どですよね。父がキリスト教徒なので今慌しく準備をしています。復活祭はキリスト教最大のお祭りとも言われ、イエス・キリストが庶嚔ヒに架けられた後、復活したことを祝うものです。また寒い冬の終わりを告げ、命が芽生える春の訪れを喜ぶ祭りでもあります。そうした意味も込め生命の源である“卵”がイースターのシンボルなのです。

日本でもチョコレート業界で先駆者的存在の土屋公二氏の「ミュゼドゥショコラ・テオブロマ」では、卵型のチョコレートの中に、小さな動物のチョコレートをいれたものや、ウサギの形をしたチョコレートなどを販売していました。またチョコレートの他にもイースターをテーマとしたケーキが大手の洋菓子店で登場しつつあります。例えば「モロゾフ」では、ラズベリーメ[スで描いたうさぎが愛らしいイースターレアチーズケーキ(¥1050)や、クリームチーズケーキにうさぎをデザインした粉砂糖糖を振り掛けた、イースタークリームチーズケーキ(¥1050)などがあります。
このように少しずつですが復活祭のスイーツも日本で紹介されはじめたので要チェックです!

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月10日(月曜日)

杏仁豆腐とジャスミン茶

杏仁豆腐とジャスミン茶無性にアツアツの小龍包が食べたくなって中華料理を食べに行きました。中から溢れる肉汁にヤケドしそうな熱さと戦って舌鼓をうちました。点心類は見た目より満足感が得られるし、モチモチの皮と野菜と肉…ギュッとバランス良く色々なものが食べられるので健康的な気がします。点心の最後はきまってゴマ団子を食べる私ですが、今回は更に冷たいデザートも一品追加。

中華デザートの代浮フ一つとも言える「杏仁豆腐」。
ジャスミン茶ティーポットでサーブしてもらって、口中をサッパリさせてから、ひんやりプルルンとした食感と、ほんのり感じる甘みをジックリ楽しみました。

医食同源を基本とする中国人はあまり冷たいものを口にしない印象ですが、昔から冷えたデザートも食べていたのだろうか…と気になって調べてみたら、杏仁(「杏」の核となる部分=「仁」)は、「漢方としては肺経の専門薬」らしく、食事の中間に一休みする感じで食べていたらしい! ということが判明。やっぱり、医食同源の考えに基づいていたのですね。

「あぁ、私は食事の最後に頼んでしまいました…」と軽く反省しましたが、日本ではそれが一般的なこと。郷に入っては郷に従え、ということで自分を納得させたわけです。

ところで、中華料理と一緒に出されるお茶はポットに入った温かいジャスミン茶や中国緑茶であることが多いですね。中国ではごく普通のことのようですが、タップリ飲めてお得な気分になります。考えてみれば、中国茶は風味が薄れ行くまで何煎でも淹れられるわけですから、ポットで出すということは、お茶を大切に思う気持ちの浮黷ゥもしれないと思いました。

中国茶をもっと色々愉しみたいと思う方はチンシャンのレシピのコーナーがお薦めです。ジャスミン茶をつかったミルクプリンの作り方や茶がらの活用術など情報満載です。

content_btm.gif content_top.gif
2006年04月07日(金曜日)

天国は遠くない

060407kawag2.jpg目黒通りの裏道にある小さなパティスリー、sucre(シュクル)は、代官山にあるワッフルの老舗Waffle'sの店長だった女性がオープンさせたお店。ミニマムな素材だけを使って、飾らないおいしい焼き菓子を作っています。

花曇りの午前中におじゃまして、いい匂いのたちこめるキッチンでお菓子が作られていくようすを見せていただきました。オーブンの天板に、手でまるめた小さなボールが次々に並べられていきます。
「これは何を作っているところですか?」
「ピーナッツクッキーです」

声のトーンはとても楽しげ。天板いっぱいにボール状のクッキー生地を並べ終えると、手でおさえて平らにつぶし、その上からフォークを押しつけて筋目をつけていきます。

お菓子づくりの間にもお店の扉はたびたび開かれ、ご近所の人々がスイーツを買いに訪れます。千円札を握りしめて入ってきた小学生姉妹は、時間をかけてプリンといちごのショートケーキを選び、包みを受け取るといちもくさんに走っていきました。

その帰り道、権之助坂でバスを降りて目黒川沿いを散歩してみました。川の両側には満開をすぎた桜並木が連なってさかんに花びらを散らし、遊歩道のあちこちに淡紅色の吹きだまりができています。驚いたことに、川面までが桜いろ。水の上に散った無数の花びらが身を寄せ合い、はてしなく長い帯となってゆるゆると流れているのです。

060407kawag1.jpg私はベンチに腰をおろし、sucreで購入してきた小さな包みをひろげました。オーブンから焼き上がったばかりのピーナッツクッキーです。香ばしいクッキーはまだあたたかかく、かじった瞬間に風が吹いて、肩にも膝にもクッキーの包みにも、桜の花びらがほろほろとこぼれてきました。

そのとき、対岸の桜の下から声があがったのです。

  はるの小川はさらさらいくよ
  岸のすみれやれんげの花に
  すがたやさしく色うつくしく

見れば60代くらいの女性たちが署柏l、桜の木の下に座ってお茶を飲みながら、声をあわせて歌っています。私が歌詞を思い出せなかった二番も彼女たちはなんなくこなし、歌声は次に『さくら』に移りました。

花曇りのしずかな正午です。背後の小さな修理工場はお昼の休憩に入っているらしく、物音はとだえ、人影のない建物の中にラジオの声がかすかに響いています。川のむこうでは、かつては姿やさしく色うつくしかったであろうご婦人たちの歌声が、まだ笑い声まじりに続いています。

  All's right with the world!

そんなふうに、思いました。かつて『赤毛のアン』か『ポーの一族』を愛読した人なら周知のフレーズ、ローバート・ブラウニングの「時は春」で始まる美しい詩の一節です。少女時代には「世はすべてこともなし」という日本語訳だけしか知らなかったのですが、大人になってから原詩のその部分が「All's right with the world!」であることを知り、胸がふるえました。

日本語訳からは「世界はとくに事件もなく平穏だ」というニュアンスを感じますが、原詩からは「世界はすばらしい」という喜びにあふれた肯定が感じられませんか。サッチモが「What a wonderful world」と歌ったような。

歌声と花吹雪のなかで、不意に「All's right with the world!」と感じた私は、ピーナッツクッキーを最後の1枚まで食べきりつつ、目をうるませていました。

content_btm.gif
 1 2