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2006年05月19日(金曜日)

魂の午前三時に目を覚ましてしまったら

村上春樹がスコット・フィツジェラルドの文章をひいて、「魂の午前三時には決して目をさましていてはいけない」と書いています。誰でも魂の午前三時には、死にたくなるほど孤独で絶望的になるからと。

ごくたまにですが、夫の仕事柄、生きるのがつらすぎると感じている高校生たちが家で話題になることがあります。彼らは魂の午前三時にひとりで目を覚ましてしまう。そして死ぬためにではなく、なんとかして生き続けるために、自分の身体を傷つける。苦しんでいるのだと誰かに気づいてほしくて。

060519kawag.jpg夜の闇から彼らを抜け出させようと、夜回りをしたり子どもたちからの電話を受けたりしている人の精力的な活動がHNK教育の番組で紹介されていました。何度もメディアに取り上げられたため、生きにくい子どもたちのあいだではよく名前を知られている人物です。その彼が、繰り返し呼びかけていました。

苦しんでいることを家族に隠すな。
身近な人にやさしくしろ。
家族にやさしくできなければ、まず、友だちにやさしくしろ。

これは自分を傷つけることをやめられない子どもへのメッセージですが、つらい時期を過ごしているすべての人々に有効なエッセンスが含まれているように感じます。

苦しいときは、自分のつらさしか見えなくなっているもの。そんな時にあえて、身近な人に精一杯のやさしさを向けることで、相手から笑顔が返ってくることがあります。もしかしたら、ありがとうの言葉も。その笑顔や言葉の中には、世界からの「あなたはここで生きていっていいんですよ」というメッセージが含まれているのだと思います。

世界はほんとうに、自分が投げかけたものをそのまま返してくるのですよね。小さな憎悪を投げかければ憎悪が、ぎこちないやさしさを投げかければやさしさが、本人に戻ってくるのだということを、私はずいぶん大人になってしまってから初めて実感しました。昔の私に呼びかけられるなら、ぜひ教えてあげたいものです。なにかいいことが起きないかなあ、幸運が降ってこないかなあ…とため息をついているなら、人にやさしくしてごらんなさい。


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