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2006年10月22日(日曜日)

幸福な食いしん坊

061022kawag.jpgお仕事でお目にかかったひとに、「忘れられない1軒」についてうかがいました。そのひとは大変な食いしん坊。おいしいもののためなら日本全国へお金も手間も惜しまずに食べにでかけ、作り手と会話を楽しみながらおいしいものを堪狽オています。

そのひとに、もし世界の終わりが来たら、最後に飲みたい一杯はなんですかと尋ねたら、Cafe415のハニーマキアートか、大阪のあるジュース屋さんのジュース、と答えてくれました。

「1年365日のうち、300日は閉まっている店なんです」
彼は言いました。大阪へ出張するたびにわざわざそのお店を訊ねるのだけれど、最近はずっと開いていたためしがないのだそう。

「小さな店で、定員は7人くらいかな。ジュースが出てくるのに15分くらいかかるんですよ。蕎麦でも売ってるのかというくらいに(笑) 新鮮でとても質のいい果物を仕入れていて、注文すると、90歳近いおじいさんが、ぶるぶると震える手で果物の皮をむくところから始めるんです」

果物のほかに、香りのいい果実の皮など、魔法のひとしずくを何種類か加えるらしく、ひとくち飲むと生き返るほどおいしいのだそう。そして、不思議なのはそのジュースのお値段。

「ひとりで行くと、ひとり分1500円。ふたりで行っても、ふたり分1500円」

つまり、果物をひとり分むいて切り分ける手間も、ふたり分の手間も、いっしょだというわけです。私は好奇心にかられて尋ねました。
「じゃあ、7人で行ったら、おいくらになるのでしょうね?」
「おこられます(笑)」
そんなにいっぺんに作れないから、ですって。

話してくれたひとを、本当に幸福な食いしん坊だなと思いました。とびきり高級な料理店から路地裏の3席しかない餃子屋さんまで、おいしいものと、それを作り出す人を愛してやまない。あらさがしをするよりも、作る人の心意気のほうに焦点を当てている。

いくら贅沢な食材を使った、洗練された料理店といえども、年齢を重ねてあれこれ食べ慣れてくると、だんだんに感動が薄れてしまうものですよね。新しい趣向を凝らした一皿を味わっても、あ、あそこで食べたあれに似ているなとか、前回はおいしかったのに今回は今ひとつだなとか、つまらないことにばかり考えがとらわれて、心から楽しむということができなくなってきます。それは「不幸な食いしん坊」。

かといって、お手軽なものばかりを食べていて、おなかの底から唸ってしまうような、すごみのあるおいしさを知らないというのもまた、さびしいもの。カフェにはカフェのおいしさが、料亭には料亭のおいしさがあります。それぞれの場所で、いつも素直な子どものように目をみはってお料理を楽しめるなら、世界一幸せな食いしん坊だと思います。


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