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2008年02月29日(金曜日)

おばあちゃんの距離

電車の中でよく感じることですが、若い女の子ほど、身体が他のひとと触れあうのをいやがりますよね。
私も若い時分には、見知らぬ誰かとほんのちょっと肘が当たるのも避けるほどでしたから、もしかしたら本箔Iなものでしょうか。

年齢を重ねた女性ほど、身体的距離が近いのを気にしないように思えます。電車の座席に腰かけていて、両腕がべったりと両隣のひとにくっついても意に介さないふう。
それは彼女の腕がたくさんの日々、たくさんの子供たちを抱きあげ、頬ずりし、そのよだれや涙やおしっこをきれいに始末してきたために接触に無頓着になったのかもしれません。

080229kawag.jpgおばあちゃんの距離感で思い出すこと。もう署粕N前のことになりますが、私は電車が行ってしまったばかりの小さな駅のホームでベンチに座り、ピアスをつけようとしていました。
耳たぶに穴を開けて間もないころで、まだピアスの着脱に慣れていませんでしたから、ひどく時間がかかっていました。

ベンチの前にやってきて、私の隣に腰かけた小柄なおばあちゃん。興味しんしんで私の手つきを見つめているのがわかります。
ああ、そんなに凝視されたら、ますますピアスが入らなくなる……と、内心ひそかにあせっておりますと、なんとおばあちゃんはいきなりベンチの上に正座して、ぐるりと膝を回し、私に直角に向き直りました。

距離が近いです。しかも直角です。
「痛くないの?」
おばあちゃんは好奇心もあらわに尋ねてきました。いえ、大丈夫なんですよ、と答えましたが、私はもうふきだす寸前。
「大変だねえ! やっぱり痛いだろう!」
やっとのことで両耳にピアスが装着されるのをとっくり鑑賞してから、彼女は率直に感想を述べ、正面に向き直りました。

私もこんなおばあちゃんになるんだ、と心に決めました。見たいものは見たい、話しかけたかったら話しかける。それくらい自由になれてこそ、長生きの甲斐があるというものです。

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2008年02月27日(水曜日)

シュークリームランキング

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先週土曜日発売の日本経済新聞NIKKEIプラスでデパ地下シュークリームのランキングの選者を務めさせていただきました。

集計結果を見て、ふむふむ~私とは、ちょっと順位が違うけれど皆さん考えられることは大体同じですね。

1位はサダハル・アオキのシュー・ア・ラ・クレーム(写真)。ちょっとお高めですけれど、やっぱり材料が良く風味も格別。バターはフランス中西部ドゥ・セーブルで作られているエシレバターを使っていますしバターの香りが違います。

ちなみに、この掲載のために、あらゆるデパ地下でシュークリームを一つだけ買い、色々なシュークリームを食べました。

シュークリームを1つだけ図々しく蘭オて、いっぱいケーキの箱をかかえてお店に現れたのは私です^^。シュークリーム一つだけしか買わなくて、箱に入れていただくのが申し訳なかったくらいです。エコじゃないですよね…。

お菓子は嗜好品ですし、人によって好みは違いますし、同じ人でも時によって食べたいものが変わったりします。

なので、個人的には極力ランキングはつけないようにしていますが、やっぱり読者の方の引きがあるのがランキングなんですよね。私もついつい見ちゃいますし、NIKKEIプラスの何でもランキングは毎週愛読していますから。

以前掲載された「炊飯器ランキング」も参考にさせてもらい、1位の炊飯器を買いに行きましたからね。影響力はすごいものです。

でも炊飯器よりも土鍋を使って、ご飯を炊いた方が断然美味しいですよね。今度土鍋買おうかなぁ。

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2008年02月25日(月曜日)

カーラの国

2月頭に、ドイツ フランクフルトに行ってきました。
年に1度開かれる展示会(規模のかなり大きな"ギフトショー")視察のためでしたが、展示会場だけでなく、フランクフルトの街にも出る機会がありました。

ドイツといえば、そう、カーラのホームグラウンドです!
展示会場でも大きなブースを高ヲ、カーラ独自のテーブルセッティングに魅せられました。
3つ星レストラン出身の有名シェフが腕をふるい、カーラ食器を使って料理をおもてなしするなど、見るだけでなく、実際使ってみて使いやすさを実感。

私が頂いたのはカレー風味のスパイシーなスープ。
変形の白いボウルがきれいな黄色のスープを引き立てます。
ボウルはスープボウルにもなり、茶碗にもなり、デザートボウルにもなる。
その人の使い方次第で自由に役割を変えられる形が多いなぁ、とつくづく思いました。


フランクフルトにあるデパートでは、ショーウィンドウにもカーラ食器!
素敵にコーディネイトされていました。
土日ということもあったのでしょうか、キッチン用品専門店やデパートは人でいっぱい。
大変にぎやかでした。
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そろそろ新生活の季節。春もすぐそこまで来ています。
気持ちも新たに、カーラのシンプルな食器たちでスタートしてみてはいかが?

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2008年02月22日(金曜日)

日あたりの良い心で食べる:Sacra cafe.

よく晴れたお昼どき、清澄庭園に面したSacra Cafe.で、気持ちの良い一皿を堪狽オました。薬を使わず健康に育てられている鶏が産んだ新鮮な卵と、有機栽培のほうれん草を使ったフロランタン。
安心して口にできるそのおいしさは、カフェのオーナー夫妻の食べものに対するバランスの取れた考え方をそのまま反映するものでした。

080222kawag2.jpgこのところ少し身体の調子を崩していた私。毎日食べるものに対しても、自分の身体に対しても、疑心暗鬼になっていました。
安価に流通している輸入食材が信用できないのはもちろんのこと、健康に良いと宣伝されている食品も、トランス脂肪酸などの危険性をひとつずつ調べていけば怪しさはきりがありません。

Sacra Cafe.のオーナーはマクロビオティックの料理教室に通い、ベジタリアンの食事を実践していた時期があったそうです。
「でもそのうちに、頭で食べていることに気がついたのです」

あれは身体に良くない、これも食べてはいけない……そんな「食べると危険」情報ばかりが先行すると、逆にそれがストレスになって、シンプルな「ごはんの喜び」が見えなくなってしまうのですね。

たぶん、親しい人と笑いながらおおらかに楽しむ食事は、眉間にしわを寄せながら摂取するストイックな食事よりも、ずっと心身を元気にしてくれるのでしょう。2週間ほど前に急に身体の不調を自覚した私は、健康のためには楽しみを制限しなければ、という命令形で頭がいっぱいになっていたのだと気がつきました。

Sacra cafe.では、千葉の信頼できる生産者のもとから届く有機・減農薬のお米や野菜を中心に、「△△式」「△△べジタリアン」といった形式にはこだわらず、身体にやさしい食事とスイーツが丹念に手作りされています。その、のびやかで明るいおいしさ!

080222kawag1.jpgこじんまりした空間には古いボーエ・モーエンセンの椅子と胡桃材のテーブルが並んでいます。椅子の背に刻印されているのは王冠のマークとAの文字。この椅子たちはかつて、デンマークの王立アカデミーで使われていたものなのだそうです。

窓からは陽射しがたっぷりさしこみ、明るい店内には包みこむような、でも決しておしつけがましくなることのない、ひとつのトーンが感じられました。その空間で私が久しぶりに感じていたのは、確かな信頼感であったかもしれません。

食事のあと、ゲランドの塩を使った「塩クリームのロールケーキ」をひとくち味見して幸福な気持ちになり、そのあと会う予定の友人たちにも味わってもらおうとテイクアウトしたのです。めいめいが夜、自宅に持ち帰って小さなわくわくを楽しめるようにと、わざわざ1個ずつ小さな箱に入れていただいて。

それなのに、こらえ性のない友人たちは、箱をのぞきこんでたまご色のしっとりした生地を目にするなり、なんとその場で食べてしまいました。食いしん坊たちめ!

▼Sacra Cafe.(サクラカフェ)
http://sacracafe.com/sacra/

※休日は遠方からもたくさんのお客さまが訪れ、平日のランチタイムには界隈で働く人々でいっぱいになるそう。ゆっくり時間を過ごしたい人はその時間帯をはずしましょう。

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2008年02月20日(水曜日)

影は濃いほど陽が当たる

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風は冷たいけれど、日差しが暖かく「春もそろそろ!」とワクワクします。
陽だまりで日向ぼっこをしていると、幸せな季節になりましたね。

近所の公園では、梅の花が見ごろになっていました!
梅の香りが公園中に広がっています。
甘酒を飲みつつ梅見を楽しんできましたよ。

さて、ちょっと凹んだ時、皆さんどうされますか?
私は前向きな発言をしてくれる友人に会いたくなります。

友人と話しているうちに悩みも忘れて、楽しくなりゲラゲラ笑ってストレス発散!
お茶したり、一緒にSPAにいったり、ちょっとだけお酒を飲んだり。
友人は大切です。

ちょっぴり凹んでいる私に友人が素敵な言葉をくれました。
「影は濃いほど陽が当たる」
…美しい言葉です。
色々な辛い経験を乗り越えて明るい笑顔をもつ友人が言う言葉には、いつも含蓄があります。

またある友人からは…
「高くジャンプするには、深く深くしゃがむんだよ」
という言葉ももらいました。いっぱい努力して、色々なことを成し遂げてきた友人の言葉だけに説得力があります。

こんな良い言葉をもらえるなら、凹んだ甲斐があったわ。
友人達に感謝!

春も、そろそろ。
皆さんにとって、色々な幸せが芽吹く春になりますように!

写真上:野梅(ヤバイと読むようです^^)
写真下:八重寒紅

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2008年02月18日(月曜日)

味覚のレッスン ~お塩の研究~

お塩いろいろ最近、「味覚のレッスン」に通っています。

味覚のレッスン!?どんなレッスンなの~!?と思われますよね。
このレッスンは、1つの素材(調味料)について、歴史や種類、効果を知り、味、香り、食感の違いを舌で味わいます。そして五感を鍛えるという講座なのです。レッスンの目的は、素材の特徴を理解した上で、上手に使ってあげることが大切だと気づくこと。料理やお菓子をどのように仕上げたいのかによって、調味料の使い方や他の素材との配合、作り方の手順、食べ方が変わってくるのです。

何よりうれしいのは、一度に数種類の素材の食べ比べができること。家で素材の食べ比べをしたいと思っても、何種類もの食材を購入して使いきれないのはもったいないし…と困っていました。これまでに参加したのは、砂糖と塩の会。今回は、塩の会のお話をさせていただこうと思います。


この日に食べ比べたお塩は、12種類。写真左から・・・「ビゴの店」藤森シェフがパンに使っているという塩、TVでCMもされている「やさしお」、食卓塩、ゲランドの塩(粗塩タイプ、顆粒状、海草入り)、三國の決め塩、世界一ミネラルが多いという沖縄の塩、イタリアの岩塩。写真にはありませんが、黒く硫黄のような匂いがする岩塩、イタリアの赤い岩塩、イギリス マルドンのピラミッド状に結晶した塩。

塩釜焼塩ひとつでも、こんなにたくさんの種類があるなんて驚きですよね!?どれが良い、悪いではなく、どんなお料理にはどのお塩が合うか…それを見極められるだけの力を養いたいものです。

粉、油、塩などの組み合わせで全体のバランスが変わることを、実験してみたのが写真にあるフォカッチャ。仕上げにまぶす塩の種類だけを変えています。塩の食感が違うだけで別の食べ物のようでした。

(上)細かく口の中ですぐとける三國の決め塩 
(下)口の中でもバリバリ噛めるゲランドの粗塩

そして、ガストロノミアでも作り方をご紹介している魚の塩釜焼。こちらは、塩でたてたメレンゲを魚に塗って焼きました。ついつい塩釜焼きにお塩をたくさん使いがちですが、魚の中に浸透していく塩の量には限度があるので必要以上に塩を使わなくても良いのだそうです。無駄なお塩を使わずに簡単に豪華なお料理が出来上がってしまうのですね!

次回は、オイルの研究です。今からとってもたのしみにしています☆
砂糖の会については、ガストロノミア便りにてご紹介しています。

※オンラインショップにはない、商品の裏話をお伝えするキントー空間がオープンしました!

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2008年02月15日(金曜日)

カフェチェーンが出版社を提訴?

080215kawag2.jpgあるカフェチェーンが出版社を訴えた、というニュースが巷を少々にぎわせていますね。

ニュースによれば、原因となったのは一冊の雑誌に掲載されたカフェチェーンのランキング。ひとりのライターさんが合計11のカフェチェーンを覆面調査した結果が掲載されており、最下位にランクされたカフェチェーンが「名誉を傷つけられた」として出版社に1100万円の損害賠償を求めているのだそうです。

記事中のランキングでは、1位はタリーズ、2位はセガフレード・ザネッティ、3位はスターバックス。上位のお店だけ発表すれば波風も立たなかったのでしょうが、最後の11位までずらりと名前を並べると、まるで学校の廊下に期末テストの順位が最下位まで全員張り出されたような緊張感がありますね。

提訴に踏みきった当事者の憤りは理解できるのですが、いささか冷静さを欠いた、大人げない反応のように思えます。記事はあくまでも個人の主観的な判断で書かれていますから、落ち着いた年代の読者ならうのみにはせず、自分なりの基準でお店を選ぶはず……少なくとも、私の場合はそうです。

080215kawag1.jpgこのカフェチェーンは、ブランドイメージへの被害を最小限に抑えるためには、笑って取り合わないのが一番だったのではないでしょうか。なにしろ世の中の大多数の人々は、毎週読み捨てられていく一冊の雑誌の中でそのカフェチェーンが最下位だと決めつけられたことなど知りもしなかったわけで、今回の提訴のニュースで初めてその事実が広まってしまうことになったのですもの。

カフェは本来、カップ一杯分の心の余裕を提供する場所であるはず。こんなランキング結果にも心の余裕と洒落っ気をもって対処するなら、逆にイメージ向上のチャンスに転じられるかもしれません。

たとえば、記事で指摘された欠点を3ヶ月かけて本気で改善し、このライターさんに1年間無料パスをプレゼントするというのはいかがでしょう。「あなたのおかげでこんなに素敵なお店になれました。お好きなだけご確認ください」という感謝の言葉とともに。そして、改善後の印象をあらためて記事に書いてもらえばいいではありませんか?

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2008年02月13日(水曜日)

産地直送

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この連休、学生時代の友人が集まりました。

今は熊本に住んでいる友人も東京に来てくれて、2年ぶりくらいに会った友人もいます。
話は尽きず、5時間くらいがあっという間に経ちました。学食で、いつまでもいつまでも話していた頃が懐かしい!(高知県へ嫁いだ友人や他にも来るはずだったのに、来れなくなってしまい残念!会いたかった…。)

学生当時、通学時間が2時間くらいかかっていた私は、都内に独り暮らししていた友人のMちゃんの家にいりびたっていたものです。今こそ御恩返しと思い、泊っていただきました。また来てね。

高知からは“カツオのタタキ”、熊本からは“馬刺し”が送られ、産地直送の美味なるものが並びました☆ そしてルージュブランシュのロールケーキや飲み物も美味でした♪

馬刺しは、赤身の一部をカルパッチョに仕立て、霜降りと赤身はすりおろしたニンニクとお醤油でいただきました。産地直送の馬肉は臭みもなく、こんなに美味しい馬肉は初めて♪

またカツオは、高知の友人からの指示で「分厚く切って、タレをジャバジャバかけて食べてね!」と言われその通りにしましたよ。

他に食べ方の指示としては「たたきを少し厚めの刺身のように切り、青じその葉、葱を小口切りにしてその上に柏ィ、ニンニクのスライスとともにタレをつける。また大皿に玉ねぎのスライスを敷き、たたきを切って並べたるのも美味」とのことです。高知風に、玉ねぎ+ニンニクスライス+青じそと一緒にいただきました☆

カツオは生臭みがあって、苦手なものもありますが、これは流石に新鮮!
楓ハが「わら焼き」してあり、香ばしい味わいとかつお本来の美味しさで、いくらでも食べられます。

ちなみにカツオは創業明治初年の老舗の「池澤本店」、馬刺しは「菅乃屋」ですよ。

また必ずお取り寄せすることでしょう!

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2008年02月12日(火曜日)

人のセックスを笑うな

「人のセックスを笑うな」裏公式ナイトこの衝撃的な題名は、現在公開中の山崎ナオコーラ原作・井口奈己監督の映画です。
先日関心空間プレゼンツのトークショー付き オールナイト鑑賞イベントに行って来ました。

「人のセックスを笑うな」 は美術学校の非常勤講師ユリ(永作博美さん)に 学生みるめ(松山ケンイチさん)が恋に落ちる話です。
みるめの同級生えんちゃん(蒼井優さん)はみるめに片思い、更に同級生の堂本(忍成修吾さん)はえんちゃんに片思いという複雑な4画関係の上、ショックなことにユリには旦那さんがいるのです。

自由奔放なユリに翻弄されるそれぞれの恋愛模様。
好きな人が結婚している、好きな人が不倫している状況は本当はとても苦しいものだと思うのですが、そのせつなさがほのぼのと明るく、チャーミングに描かれています。

そして井口監督ができるだけ演技をしてもらわないようにしたと話していたとおり、もしかして、いまのは演技ではなく素なのかもしれないと思うところも多々あり、素直にみんな可愛いなぁと思ってしまいます。
4人の役者さん(+ユリの旦那さん役のあがた森魚さん)が本当に良い味を出してるんですよ。

衝撃的な題名に反して、なんだかキュンとする恋愛がしたくなる映画でした。
そう、もうすぐバレンタインデーですしね。

先に書きました関心空間 はオンラインで自分と他人の気になるモノやコトを共有し、新しい情報や価値観との出会いを楽しむことができるサイトです。
先月末に「キントー空間」 がオープンしました。
開発秘話やオンラインショップでは書かれていないお話も紹介して行きますので、
ぜひのぞいてみてくださいね。

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2008年02月08日(金曜日)

大人のための絵本『love ~ラブ~』

love3.jpglove ~ラブ~
画:ジャン・ベルト・ヴァンニ
文:ローウェル A.シフ
青山出版
(1890円)


デザイン性の高い絵本をいただきました。1964年にフランスで出版され、世界中で100万部以上のミリオンセラーとなった絵本の復刻版。バレンタインデーに大切な人に贈るにもふさわしい一冊です。

デザインを手がけたのはイタリアの画家ジャン・ベルト・ヴァンニ。ローマ大学建築学部出身、映画やオペラの舞台美術でも活躍した彼の才狽ェ豊かに発揮された『love~ラブ~』は、色彩や造形はもちろんのこと、紙の質感、手書きの文字、複雑なかたちに切り抜かれたページが隣りあうページに落とす不思議な光と影の効果にいたるまで、まるごとアートとして楽しめる凝った仕上がりです。

みごとな造形にばかり目が向きがちな絵本ですが、物語も強く心を動かすもの。主人公の女の子の姿に、自分の中に横たわる“屋上者”の魂が共振するのを感じました。

登場するのはかわいくない女の子。いささか風変わりな個性の持ち主で、人にいやがられることもするから、いつもひとりぼっちです。でも、彼女が手紙に書いた言葉は……。

唐突に、断ち切るようにして訪れるラストシーン。最後のひとことがあまりにも思いがけない言葉だったので、もしかしたら伏線となるページを読みとばしてしまったかしらと、もう一度最初からページをめくったほどです。

最後のページの意味について考えをめぐらしているうちに、溢れるようなせつなさに心臓をつかまれて涙してしまいました。たくさんの解釈が成り立つ言葉です。たとえばそこに人と人とのコミュニケーションのすれちがいや、あたたかな愛情を交わすことの困難さを読み取る人もいるでしょう。

私はひとりの女の子の孤独な魂と、そんなにも孤独でいながら世界を呪詛することなく、この世界の良いものを感じとり、世界を愛そうとする心を、なんと強く美しいのだろうと思ったのです。

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