プロの仕事
プロとアマチュアの境界線は、昨今、限りなく曖昧なものになったと多くの人が感じているようです。昨日までアマチュアだった人が、今日からはプロ、そんな事態がきわめて起こりやすいのが、おもしろくもあり、つまらなくもあり。
それでもなお、「プロの仕事ぶりは違う」と舌を巻いてしまうときがあるもので、私はそのような、プロの底力を感じる体験がとても好きです。長年にわたってひとつの仕事に真剣に関わってきた人が、仕事を通して自然に磨かれていった力を、ふとした瞬間になにげなく見せてくれる--その人と出会えてよかった、と思う瞬間です。
たとえば、先日パスタの作り方を教えていただいた南青山のリストランテのシェフは、ディチェコのパスタを使っていました。私も麺の味がおいしいから、という理由で自宅でディチェコを使っているのですけれど、シェフに尋ねると
「アルデンテでいてくれる時間が長いから」。
お店では、ワインを飲みながら会話に夢中になるあまり、テーブルに運ばれてきたパスタをすぐに食べてくれないお客さまもいるのだとか。放置されているあいだに加熱が進んでしまいますね。
たとえシェフが細心の注意を払ってアルデンテに茹であげても、最高の状態でお客さまの口に入らなければ意味がありません。プロはそういう要素にまで視線が行き届いているのですね。
毎月お世話になっているレインドロップのアロマテラピストは、私の体重がほんの1kg減っただけで、足の裏に触れながら「痩せられましたね」と指摘してくるし、美しく繊細にして機能的なイタリアの輸入下着を並べたショップのマダムは、「お胸にさわらせていただきますね」と、胸の下側と上側を両手ではさむようにして軽く触れただけで、ジャストサイズのブラジャーを2つ私に手渡して、試着室に案内してくれました。
その、恐ろしいほどの正確さ! マダムによれば、本当は女性の胸を見ただけでサイズを判断できるのだけれど、お肉の質によってぴったり合う下着が違ってくるので、触れてみることが必要なんだそうです。やわらかなお肉の人と、堅いお肉の人では、たとえサイズがまったく同じでも、選ぶべき下着はぜんぜん違うのですって。
プロの仕事ぶりを見るにつけ、自分もそうありたいと願わずにはいられません。








