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2008年11月28日(金曜日)

天国の質問

ある映画の中で、エジプトのピラミッドの上に腰かけて、博識なモーガン・フリーマンが大金持ちのジャック・ニコルソンに天国にまつわるエピソードを披露します。いわく、人間が死ぬと天国の扉の前で門番に2つのことを尋ねられる。質問に両方とも「はい」と答えられた人が天国に入れるのだと。

その質問とは--
「あなたは人生の中で喜びを味わいましたか?」
「あなたは他の人々に喜びを与えましたか?」

死を取り扱った映画を何本かたてつづけに観たものですから、子どものころ、死ぬのが怖くてふとんの中で身じろぎもできなかった記憶がよみがえってきました。

奇妙で独特なその恐怖は、昼間はまったく襲ってこないのに、夜、ふとんに横になって目を閉じるといきなり襲いかかるのです。自分が消滅しても、この世界はすこしも変わらず太陽がのぼり、さまざまなできごとが起き、人々は喜んだり悲しんだりする……そのことが絶望的に怖かったのです。

いまとなっては、どうして自分が消滅することにそれほど根源的な恐れを感じていたのか、うまく思い出せないのですが。

081128kawag.jpg祖父は小さな冗談や洒落の好きな人で、高齢で入院してからも、穏やかな口調で「自分が死ぬ瞬間には、時代劇で亡くなる人がよくやるように何か言いかけてから、急にがくっと首をたれる」と宣言して親族や看護師さんたちを笑わせていました。

そして息をひきとるその瞬間、祖父は本当にがくっと首をたれたので、見守っていた父は一瞬、冗談なのか本気なのか迷ってしまったそうです。
最後の最後まで、周囲の人を楽しませることを考えていた祖父。天国の扉の前で、門番に2つの質問を受けたら、きっと静かにほほえんで「はい」と答えられるはずです。


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