逃げるのをやめると、恐怖感が消えていく
きっと誰でも、「いずれは起きてしまうことだけれど、できればそれについては考えたくない」という将来の不安をいくつか抱えているのではないでしょうか。愛する人や家族の病気や死も、そんな漠然とした恐れのひとつですね。
お正月に大島の義父が脳梗塞で倒れ、ドクターヘリで23区内の病院に運ばれてきました。それまでの義父は私よりもずっと健康なくらいでしたから、本人にとっても家族にとっても、あまりにも突然のできごと。
食事も排泄も自分の力ではできず、水でさえ、とろみをつけないと飲み込むことができなくなってしまいました。これはまさに私が漠然と抱いていた「将来の不安」のひとつ。夫と私の生活も大きく変えざるをえないかと思われました。
これから、どうなっていくのだろう……最初の日はそんな考えが渦巻き、自分が立っている地面が消えていくような怖さの中にありました。考えはまとまらずにあちこち揺れ動き、無意識のうちに、どうしたらこの事態から逃げ出せるかしらと思っていることも。
でも、この事態をしっかり受け止めよう、自分にできることをしようと決めたら、不思議なことに恐怖感がすうっと消えていったのです。家族のみんながつとめて明るく、勇敢に対処していたことも大きな支えでした。
義父は3ヶ月の入院生活のあいだに、義母を中心とした家族のみんなに手厚く世話をされたおかげで、リハビリも順調に進み、先週、自分の両足で歩いて退院することができました。病院のベッドの上でたびたび恋しがっていた大島の自宅に戻れて、さぞ嬉しいことでしょう。
逃げまわるのをやめて、受け止めてしまえば、恐怖は消えていくもの。頭のどこかで逃げだす算段を考えるのに費やすエネルギーを、受け止めるエネルギーのほうに回せて、全力で向き合うことができるせいでしょうか。弱いと思っていた自分のなかに、意外な強さが隠れていることを発見したりもします。それを知ることができたのは、私にとって人生の大きな収穫でした。









