美食家エルキュール・ポアロの朝食はブリオッシュと熱いチョコレート
5月に新刊が発売になりました。全国の書店やAmazonでお求めいただけます。見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。
執筆中、私たちライター3人の自宅の冷蔵庫のなかは、つねにショコラ各種がいっぱい! なにしろ私の名前の中には「チヨコ」の三文字が隠れていますから、チョコレート・ジャンキーになるのは運命づけられていたのです…。
『ショコラの時間』
【出版】 青山出版社
【著者】 川口葉子/藤原ゆきえ/江沢香織
【定価】 1600円+税
芳醇な香り、とろける甘い口どけで、
たちまち心を虜にしてしまう魅惑のスイーツ、ショコラ。
そんなショコラの誕生物語から、
世界の美味が楽しめる東京のショコラトリー案内40軒!
そして、ショコラを使ったおいしいレシピ、
映画や小説に登場するショコラのスイート&ビターな瞬間など…
その魅力のすべてを詰め合わせてお届けします。
第4章「シネマのショコラ・言葉のショコラ」から、以下にほんの一部をご紹介しましょう。
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美食家エルキュール・ポアロの朝食は
ブリオッシュと熱いチョコレート
アガサ・クリスティのペンが生んだ私立探偵エルキュール・ポアロは、黒髪に緑の眼、小柄な体躯に大きな口髭をたくわえて異彩を放つベルギー人。自己の頭脳に絶大な信頼を寄せています。
彼の口癖は有名な「私の灰色の脳細胞」と、不満なときにもらす感嘆詞「チャー!」。友人のヘイスティングス大尉によれば「チャー!」は猫のくしゃみにそっくりだそうですが、いったいポアロはどんなふうに発音するのでしょうね?
チョコレート王国ベルギーからロンドンに亡命してきたせいなのか、アフタヌーンティーにもホットチョコレートを愛飲しているポアロ。ヘイスティングスの目には「100ポンドもらっても飲む気になれないようなこってりしたチョコレート」と映りますが、ポアロの弁によれば、紅茶なんて「イギリスの好むまずい飲みもの」。カフェイン抜きのコーヒーは「ああ、そんなもの、まっぴらごめんです!」
美食を愛するポアロの朝食のテーブルには、甘い湯気がたちのぼるホットチョコレートと、チョコレートによく合うブリオッシュが並びます。ポアロは何軒ものお店のブリオッシュを試した末に、デンマーク人の経営するパティスリーのものを選んだのです。
クリスティが初めて手がけた戯曲『ブラックコーヒー』の小説版は、ポアロがいつものようにホットチョコレートとブリオッシュで朝食をとるシーンから始まっています。いったん決めた習慣をめったに変えないポアロなのに、その朝に限って珍しく従僕に2杯目のチョコレートを所望したのは、事件が起きるという虫の知らせだったのでしょうか。








