トルコライス・3つの仮説
今回の旅でみつけた、いちばん変なもの。電車食堂とトルコライス。
長崎の繁華街の路地裏を散歩していたら、一瞬、視線が釘づけになったのです。建物の壁から、いきなり電車が?!
あとで判明したのですが、それは「きっちんせいじ」という有名な洋食屋さん。かつて長崎市内を走っていた路面電車を改造したお店でした。
ちらりと祐天寺の「ナイアガラ」が脳裏をよぎり、好奇心を抑えきれずに扉を開けると、店内はめくるめく電車コレクション! 天井から下がる吊革、網棚、ライト、古めかしい車掌の帽子とかばん、駅のプレート…。
このインテリアは「電車ファンには“過剰に収集する”という気質があるのね」と納得できましたが、納得できなかったのがメニューにあった「長崎名物トルコライス」。
なんでも、ピラフ+ナポリタンスパゲティ+トンカツの3品をワンプレートに盛り合わせたお料理なのだそうです。それがなぜ、トルコ?
食べ盛りの男子中学生のために炭水化物とお肉と油を盛り合わせたようなこのプレート、写真を見ただけで体重が1kgくらい増えたような気がして、オムライスを注文しました。
昔ふうの味がするオムライスを噛みしめながら、愛想の良いお店のおばさまに「トルコライスとはなんですか?」と尋ねてみたら、たぶん観光客に100回も同じ質問を受けているのでしょう、にっこりして「はいはい、私の説明より、こちらを読んでもらったほうがわかりやすいからね」と、雑誌の切り抜きらしいファイルを渡してくれました。
それによれば、トルコライスという命名には幾つかの仮説があるのだそうです。
(1) トルコライスの発明当初は、トンカツではなく、シシカバブがのっていた。
(2) 当時、名前に「トルコ」をつけるのが流行していた。
(3) 「トリコロール」がトルコに変化した。
3番目のトリコロール説にも、2種類のもっともらしい理屈がありました。ひとつは、お皿の上の「三色」の取り合わせをフランス語で表現したという説。もうひとつは、最初にトルコライスを出した喫茶店の名前がトリコロールだったという説。
どの仮説も、いまひとつ説得力に乏しいですね。結局、トルコライスの確固たる由来はわからないようですが、説明はこんなふうに続いていました。
「なぜトルコライスが長崎に定着し愛されるようになったのか?
それには、昔から異文化に慣れ親しみ
抵抗なくその良いところだけを積極的に取り入れ
ミックスしアレンジする長崎という地域特有の、
いうなればチャンポン文化、チャンポン気質というものが
東洋の炒飯(ピラフ)、西洋のスパゲティ、そしてトンカツを
一つの皿に盛るトルコライスを誕生させたのではないか?」
はあ、なるほど。なんとなくわかったような気になりますね。長崎のチャンポン文化と沖縄のチャンプルー文化の共通点などに想いをはせました。








