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2009年10月30日(金曜日)
トルコライス・3つの仮説
今回の旅でみつけた、いちばん変なもの。電車食堂とトルコライス。
長崎の繁華街の路地裏を散歩していたら、一瞬、視線が釘づけになったのです。建物の壁から、いきなり電車が?!
あとで判明したのですが、それは「きっちんせいじ」という有名な洋食屋さん。かつて長崎市内を走っていた路面電車を改造したお店でした。
ちらりと祐天寺の「ナイアガラ」が脳裏をよぎり、好奇心を抑えきれずに扉を開けると、店内はめくるめく電車コレクション! 天井から下がる吊革、網棚、ライト、古めかしい車掌の帽子とかばん、駅のプレート…。
このインテリアは「電車ファンには“過剰に収集する”という気質があるのね」と納得できましたが、納得できなかったのがメニューにあった「長崎名物トルコライス」。
なんでも、ピラフ+ナポリタンスパゲティ+トンカツの3品をワンプレートに盛り合わせたお料理なのだそうです。それがなぜ、トルコ?
食べ盛りの男子中学生のために炭水化物とお肉と油を盛り合わせたようなこのプレート、写真を見ただけで体重が1kgくらい増えたような気がして、オムライスを注文しました。
昔ふうの味がするオムライスを噛みしめながら、愛想の良いお店のおばさまに「トルコライスとはなんですか?」と尋ねてみたら、たぶん観光客に100回も同じ質問を受けているのでしょう、にっこりして「はいはい、私の説明より、こちらを読んでもらったほうがわかりやすいからね」と、雑誌の切り抜きらしいファイルを渡してくれました。
それによれば、トルコライスという命名には幾つかの仮説があるのだそうです。
(1) トルコライスの発明当初は、トンカツではなく、シシカバブがのっていた。
(2) 当時、名前に「トルコ」をつけるのが流行していた。
(3) 「トリコロール」がトルコに変化した。
3番目のトリコロール説にも、2種類のもっともらしい理屈がありました。ひとつは、お皿の上の「三色」の取り合わせをフランス語で表現したという説。もうひとつは、最初にトルコライスを出した喫茶店の名前がトリコロールだったという説。
どの仮説も、いまひとつ説得力に乏しいですね。結局、トルコライスの確固たる由来はわからないようですが、説明はこんなふうに続いていました。
「なぜトルコライスが長崎に定着し愛されるようになったのか?
それには、昔から異文化に慣れ親しみ
抵抗なくその良いところだけを積極的に取り入れ
ミックスしアレンジする長崎という地域特有の、
いうなればチャンポン文化、チャンポン気質というものが
東洋の炒飯(ピラフ)、西洋のスパゲティ、そしてトンカツを
一つの皿に盛るトルコライスを誕生させたのではないか?」
はあ、なるほど。なんとなくわかったような気になりますね。長崎のチャンポン文化と沖縄のチャンプルー文化の共通点などに想いをはせました。

2009年10月29日(木曜日)
デルレイ新作ショコラ
クリスマスケーキの販売も始まり、年末へのカウントダウンが始まりました。またこの時期になると、バレンタインも目前!ショコラの発表会が続きます。
デルレイの2010年のショコラの発表会が、美しい夜景が眼下に広がるリッツホテルのスイートルームで開催されたので行ってきました。
といっても、30分くらいしか滞在していませんが。さすがに長居はできません。
とんぼ帰りで帰ってます。現地で待ち合わせした方と次回の取材の打ち合わせをしつつ試食。
チョコレートは食べ過ぎると母乳が詰まるそうなので、試食も少し。
目の前にお宝の山があるのに残念です^^;
デルレイのバレンタインのテーマは「香るダイヤモンド」。
ストロベリーとローズのガナッシュ入りのピンクハート、レモングラス&ローズマリーのガナッシュのグリーンダイヤモンド、ラズベリージェリーとピスタチオプラリネの2層、ピーカンプラリネとスペキュロース(シナモンなどのスパイス入り)など。
2層になったプラリネや、フレーバーも新作が揃います。
いつみても、見た目にも美しいショコラは、宝石さながら。
一粒一粒が贅沢です!
アントワープにあるデルレイのお店に行ったことがあるのですが、こじんまりとしたお店でチョコレートよりも、ショーウィンドウに並ぶダイヤモンドをモチーフにしたケーキが印象的でした。
この話をデルレイの広報の方にしたところ、今年のクリスマスに向けて、そのダイヤモンド型のケーキをアントワープより輸入するそうです!日本初だそうですよ。
これは気になります♪
また情報が入り次第、記事にしてご紹介させていただきますね。

2009年10月26日(月曜日)
秋のサーペンタイン・ギャラリー
無性にひたすらギァラリーを歩き回りたい、頭いっぱいに色んなものを詰めて混ぜ混ぜしたい、まさにそんな思いがむくむくと湧き上がったらもう国外脱出しかない、、、。
と少し大げさに聞こえるかもしれませんがそんな衝動を抑えきれず、先日お休みを頂き3年ぶりの旅行に出かけました。
川口さんに引き続き私も旅のお話を書かせて頂きます。。
海外の一般的なギャラリーは日本ほどいつも混んでなくとても快適です。
また入場券が要らないところも結構あるようです。(寄付等も多いです)
なので、前方の人の頭で作品が見えない、、、とか早く進みたいのに前がつかえてて
進めない、、、とかそういったイライラ感が全くないのです。
また、広い館内に漂う独特な匂いも好きな理由の一つです。
室内でのギャラリーを数日間思う存分自由に歩き回り、最後にちょっと変わった
期間限定のパビリオンを見つけました。
場所はロンドン、ケンジントン・ガーデンの林の中にあるサーペンタイン・ギャラリーの
草地に建てられている野外建築で、仮設のカフェと休憩所にもなってます。
今年で10年目を迎えるというこのパビリオンは7月12日から10月18日までの限定期間
のみで「SANAA」という日本の建築家のユニットが今年は手がけてました。
ご覧の様に壁面がほとんどなく低めの天井部分はアルミのような反面鏡で覆われて
おり、一部の壁面は透明アクリルのようなもので囲われています。
ちょっとした雨風は防げるのです。
下の芝生が上部にも移り込み全てが緑の中にうもれているような錯覚にもなりますが
どこか近未来的な匂いも感じられその両方ののバランスがとても心地よいのです。
至る処にかわいい小動物のようなチェアーもあります、、、。
私が訪れたのは取り壊される最後の週だったのですが、来年はまた別の建築家が思考を凝らし私達が思いもよらぬ建築物を新たに生み出すのでしょう。
新しいものと古き良きもの両者が上手にミックスした都市であり、またどこか何故か懐かしい思いも感じられたロンドンの旅でした。
さて、
いよいよ秋も深まりお鍋が食卓に頻繁に並ぶ季節になりました。
ここにも新しいものと古いものの融合あり。
日本人に古くから愛され続けてきた土鍋料理&使い勝手の良いIH土鍋で
皆様この季節は食卓を囲んでみられてはいかがでしょうか。

2009年10月24日(土曜日)
祈りの島、貝殻の聖水
ひとりで五島列島をのんびりと旅して、小さな古い教会の数々をめぐってきました。
旅のきっかけは、京都のひそやかな美しいカフェ、好日居の古い家具の上に並べておいてあった5つの小石。店主が五島列島で心ひかれて拾ってきたというその小石に、なぜか私も吸い寄せられてしまったのです。
五島列島は隠れキリシタンの島。甘やかなターコイズ色に輝く透明度の高い海からは想像もつかない、過酷なキリシタン弾圧の歴史を持つ土地です。
200年以上に渡る厳しい弾圧を受けてもなお、島の人々を信仰に向かわせたものはなんだったのか。質素な教会の扉をひとつ開くたびに、考えずにはいられませんでした。
島には牢獄のあとが残っており、そこでどんな拷問がおこなわれたのか、読むだけで具合が悪くなるような陰惨なものだったのです。
同じ島民のあいだでさえ、現在もカトリックの人々との間には見えない壁が残っているようで、小さな乗り合いタクシーでいっしょになった島のおばさんは、「これから五輪教会に行くの? わたしは50年ここに住んでいるけれど、一度も行ったことがないわ」と、ものめずらしそうに私の顔をのぞきこみました。
無人のひっそりした教会の内部を満たす空気は1軒ごとに違っていて、信者ではない私にもその個性が興味深く感じられました。清浄であたたかな気配に満ちた親しみやすい教会。外部からの闖入者を用心深くみつめ返すような教会。
かつて島々では、礼拝の時間が近づくと、ほら貝を吹き鳴らして人々に知らせていたそうです。現在も教会の柱には大きな巻き貝が置かれ、聖水入れとして使われていました。
島の祈りには、澄んだ海の貝殻たちが静かに寄り添ってきたのですね。

2009年10月21日(水曜日)
達人たちのお取り寄せ おいしい決定版

食欲の秋ですね。
新米が美味しい季節♪ 一食、大盛り三杯は軽く食べています。
それでも足りない!…ので、一日4~5食は食べています。
夜中の3:00頃特にお腹が減るので、夜な夜な暗闇の中冷蔵庫を開けて、食糧を探す私…。
こんなに食欲があって大丈夫なのかしら…。と思うほどです。
食欲が増すことで、拍車がかかるのがお取り寄せ。
外出もあまりできませんから、ここぞとばかりに、色々なものを取り寄せて楽しんでいます♪
今発売されているFIGAROは「おいしいごはんを食べましょう。」がテーマ。その中で、とじ込み付録 ~日本全国からお届けします~『達人たちのお取り寄せ おいしい決定版。』の達人として、美味しいお取り寄せの品々ご紹介しています。宜しければご覧くださいね。
今回、まずお薦めのお取り寄せをリストで提出したのですが、誌面に取り上げられなかったものもあります。
例えば、干物系でしたら…
ホタルイカのいしる干しは誌面の都合上、掲載されませんでしたがお薦め!軽く炙るとイカの香ばしさと、能登産の旨みのある魚醤の風味が最高です。ホタルイカのワタの美味しさも格別。お酒のお供にどうぞ!
木挽屋の板わかめも、必ず常備しています。これはご飯にパラパラとかけても美味しいですしね。それと、取材で甘いものを大量に食べる時には、これを持参し口直しに食べています。
これを食べると、口の中が一旦リセットされるからです。
インフルエンザも怖いので人ごみに行くのも気が引けるこれからの季節。
お取り寄せを楽しんでみてはいかがでしょうか?

2009年10月19日(月曜日)
す.

おいしいバウムクーヘンをいただきました。
学芸大学駅の近くにある洋菓子屋さん、マッターホーンのバウムクーヘン。
あまりお行儀良くないですが、バウムクーヘンを食べるときは1枚ずつ層をはがしながら食べるのが好きです。
こちらのお店のバウムクーヘンは薄く切られているうえに、しっとりしているので層をはがしやすく、甘さもちょうどよく優しいお味でした。
しかも、こちらのお店の紙袋。
レトロでいい感じです。
でも右上の 「す.」 って何?
そういえばこのイラスト ・ ・ どこかで見たような・・・??
CASTやFAROを手がけた長崎在住のデザイナー城谷耕生さんから以前いただいたお土産、長崎銘菓クルスのイラストとタッチが似ています。
調べてみるとやはり。
クルスのイラストの横にも「す.」の文字がちゃんとありました。どちらも鈴木信太郎画伯が描いたイラストだそうで、「す.」 は鈴木さんのサインのようです。
洋菓子にはやっぱりコーヒーが良く合います。新商品のFAROでおいしいコーヒーを淹れてみました。
FAROはシンプルなフォルムのコーヒーメーカーです。ステンレスフィルターを使用することでペーパーフィルターでは濾してしまうコーヒー豆本来のコクと旨みを味わうことができます。
今日はハンドルなしのサーモカップでいただきました。
FAROのサーモカップ、口元を薄く仕上げているので分りづらいけれど、実は写真のように断面が二重になっています。
保温性が高くコーヒーが冷めにくいので、1枚ずつはがしながらゆっくり味わいたいバウムクーヘンにもピッタリです。

2009年10月16日(金曜日)
セレブ・デ・トマト自由が丘のトマトジュース飲み比べ
(スクリーンがトマト色ですね!)
人気のCeleb de TOMATO(セレブ・デ・トマト)が青山店、代官山店などに続いて自由が丘にも登場しました。
ファッションビル「Luz自由が丘」の3階にオープンした店舗は「セレブ・デ・トマト 自由が丘テラス」と名づけられ、店奥に気持ちのよいテラス席が広がります。
土曜日の夜に、前菜からデザートまでトマトづくしのディナーコースをいただきました。なんといっても、ヘルシーなイメージが強力なトマト。ちょっとくらい食べ過ぎても「身体に良いものを摂取した!」という免罪符が付いていますものね!
とりわけ楽しかったのは、食前酒がわりに注文したトマトジュース4種の飲み比べセット(¥1200)。10種類ほどの品種の中から、日替わりで4種類が小さなグラスに盛り合わされます。
プレートを運んできたスタッフが丁寧にトマトそれぞれの個性を説明し、糖度の低い順に時計回りに飲んでいくようにとアドバイスしてくれました。
4種のなかのひとつ、セレブ・デ・トマト自慢の「薫寿-Kotobuki-」というトマトジュースは、北海道産の高級フルーツトマト100%。
その甘やかな味わいは、思わずスタッフに「はちみつを加えていませんか?」と確認してしまったほど。一般的なトマトの3倍以上の糖度を持っているそうで、舌にはちみつのような後味が残るのです。それは本当に、野菜というより真っ赤な甘い果実。
メインのお料理は意外なほどオーソドックスで、むしろ、ドライトマトのアクセントが魅力的なスープと、一番人気の看板スイーツ「完熟トマトのブリュレ バニラアイス添え」が心に残りました。なんといってもトマト&アイスには、バルサミコソースの甘酸っぱく優雅な香りが素敵に相性がいいのです。
余談ですが、Luz自由が丘の1階には昨年イスラエルから上陸した死海の塩コスメブランド「SABON」の3店舗目がオープンしており、シャンデリアやキャンドルの美しいディスプレイが人目をひいて大変なにぎわいでした。
セレブ・デ・トマト 自由が丘テラス
東京都目黒区自由が丘2-9-6 Luz自由が丘 3F
TEL 03-6459-5822

2009年10月15日(木曜日)
お薦めベビー用品
秋晴れで気持ち良いですね。
さて育児ネタはブログで控え目にしようと思っていたのですが、ブログをご覧いただいている方から「ベビー用品のお薦めを教えて」というメールをいただいたので、ご紹介しますね♪
殆どが、こだわりのママさんから教えてもらったり、いただいた品々です。
助かっていますー。

▼ベビー用食器:moi!Pikku子供用ミールセット(写真右上)
とにかく見た目がかわいい!リンゴとバナナがモチーフになっています。ガラスは耐熱容器ですし離乳食の時期に重宝しそう♪
(秋からネットで販売予定)
▼授乳クッション:MOGU パウダービーズ
弾力があって厚めのクッションなので、授乳の際前かがみにならず楽です。先輩ママいわく長く使っても「へたれない」そうです。
▼だっこ紐:ERGO
アメリカ在住の友人達からお薦めされ、いただいた品です。ベビーが重くなってから腰や肩の負担が少ないようです。大きめベビーの我が家では必需品になりそう。
▼バウンサー:ベビービョルン ベビーシッター バランス
泣いているわが子は、これに乗るとご機嫌でにっこり。生後3週間からのっています。カバーが取りやすく洗濯も簡単なので便利。
▼授乳ケープ:BeBe au Laitのnursing covers for chic mothers
おしゃれママさんからいただいたもの。赤ちゃんの顔も見ながら授乳できるので便利のようです♪
▼紙おむつ:パンパースプレミアム
友人に薦められて購入!ちょっと高いけれど吸収がすごい。
ちなみに、オムツはすでに新生児用ではなくSサイズです。やはり大きめベビーなのかな。
▼おしっこブロック:WeeBlock(写真右下)
キャッチコピーは「パコッ!と押さえて、オシッコをブロック!」
友人からもらったのですが、かなり笑えます。しかも絵がロケット☆
他にも色々ありますが、またご紹介しますね!

2009年10月13日(火曜日)
最後のナスの栄光
はじめまして!新しくstaffになりましたashaです。どうぞよろしく。
最近は毎日新しいことの連続でアタフタしつつもワクワクの日々。
やはり何か新しいことをはじめるっていいですね。背筋がのびます。
というわけでこちらもはじめて。ほんわか茶飲み日誌記念すべき第一回目は、ナスのお話です。
私は大の漬け物好きですが、特にナスの漬け物には目がない。寿司屋でナスの浅漬けのにぎりを連続で注文し、板前さんに「そんなにナスばっか食べると色が黒くなるでー」と忠告されたことも。
はたしてナスの浅漬けにそんな副作用があるのかは不明です。
そして大好きな浅漬けがぱぱぱっとできてしまうのが、愛用中のこの浅漬鉢。
なんともいい具合に水が出て、野菜のうまみがぎゅっと詰まったおいしい浅漬けが出来上がります。
今回は夏の定番だったキュウリとナスに加え、カブも登場。
一番シンプルな浅漬けを食べました。
旬の野菜を使って、季節ごとにいろんな味を楽しめるのが浅漬けの魅力ですね。
すこーんと抜けるような青空の秋晴れの日曜日。
我が父の週末農場からは、大量のサツマイモ、水菜,小松菜がやってきました。
夏はトマトやキュウリばっかりだったのに、すっかり畑も秋になったのかと思っていると。。。小粒のナスが二つまぎれていました。
形もへなちょこだし、皮も固そうだけど、なんだか最後の力を振り絞りましたよ!という気概が感じられる佇まいです。
最後のナス。
季節の野菜ではないけれど、今日とれたから一応は旬ということで、心して浅漬けさせていただきました。
ナスの粒マスタードマリネ。洋にも和にもあう、新しい浅漬けのアイデアです。レシピはこちら。是非お試しください。
見た目とは裏腹に、意外なほどみずみずしかったナス2匹。よくがんばりました!

2009年10月09日(金曜日)
コーヒーはジャズだ…福岡・passo a passo
新刊『京都カフェ散歩』(祥伝社黄金文庫・800円)は、1週間後に全国の書店のかたすみに並ぶ予定ですが、その本の中で、京都のカフェ・ピープルたちが口にした“コーヒー名言”をいくつか記しています。
コーヒーは飲む音楽だ。
そんな素敵な考えを話してくれたのは、コーヒーマイスターの資格を持つ若い男性スタッフでした。
コーヒーに関わる人々がそれぞれ一家言を秘めているのは、コーヒーが「なくては生きられないもの」ではなく、あくまで「人生にあったらちょっと嬉しいもの」だからでしょうか。嗜好品を仕事の対象として選び、真剣に向き合う時間が、さまざまな考えを育てるのかもしれません。
そして先週は福岡で、心に触れるコーヒー名言を聞くことができたのです。それは小さな美しいカフェ、abeki(あべき)がつないでくれたご縁。
abekiは昨年出版された拙著『カフェとうつわの旅』でご紹介した福岡・平尾にある名店ですが、そのabekiにコーヒー豆を提供している福岡の自家焙煎珈琲ショップ、passo a passo(パッソ ア パッソ)を訊ねる機会に恵まれました。
passo a passoとはイタリア語で「一歩ずつ」という意味だと、店主・鵜狩雅俊さんが教えてくれました。
鵜狩さんはジャズとともに生活してきた人。コーヒー豆が並ぶカウンターの奥には、左側に焙煎機、右側に多数のLPレコードとジョン・コルトレーンの写真が鎮座しています。
コーヒーはジャズだと思います。
鵜狩さんは気負わないようすで、さらりと言いました。焙煎もジャズの即興演奏のようなもの。毎日、お天気もコーヒー生豆も少しずつ条件が違うから、そのつど即興で最良の状態に仕上げていくのだと。
言われてみれば、音楽を演奏するという行為も、その場に居合わせて演奏を聴くという行為も、ただ一度かぎりで消え去っていくもの。その一回性と、焙煎の技術を駆使して品質を一定の振り幅の中におさめるというせめぎあいが、ジャズとしてのコーヒーの醍醐味なのかもしれませんね。
言ってみれば人生そのものがジャズみたいなもので…と鵜狩さん。彼はジャズのスピリットを抱いて生きているのです。
この素敵な自家焙煎ショップの店内には、音が豊かに柔らかく響くように、絶妙な角度で天井に向けてスピーカーが設置されています。passo a passoでは、コーヒー豆たちもジャズの音色を聴いて育つのです。
passo a passo(パッソ ア パッソ)
福岡県春日市小倉7-1 藤ビル
TEL 092-582-7575