小さな煎茶碗
小さな煎茶碗をみると、子供の頃を思い出します。
近所には祖母の〝茶飲友達〝が多くいて、私が小学校から
帰宅すると毎日のように祖母はお茶会を開いていました。
子供心にこの小さな煎茶碗がまるで、おままごと道具のように
思えて私もその団欒に混じっては甘い煮豆やお菓子とお茶を頂くのがとても楽しみでした。
祖母が幾つも集める急須のコレクションは決まって赤い土の
物でした。
後にそれが常滑焼だと知るのですが、その頃には既に祖母も
他界して幾年もたっており幼少時代の私の思い出もぼんやりと薄れかけていました。
今年になり、古い納屋からその小さな煎茶碗や菓子皿たちを見つける事になるのですが、時は30年以上もたっておりすっかり骨董化してるかのようでした。
九谷焼と記されてあるその器は祖母が使わなくなった時から時もそのまま止まっていたかのように見え、ゆっくりと眠りから覚ますよう丁寧にひとつひとつ拭きながら外の世界へ出してあげました。
お茶請けの甘味の煮豆。
あの味も懐かしく、さっそく花豆の実を貰い東京でも自分で煮てみました。
やはり祖母の煮た甘い煮豆の味にはなりませんでしたが、せめてこの小さな茶器でお茶を頂くとなんとなく心が落ち着きやがて穏やかな気持ちになってゆくのを感じるのです。








