世界がぱちっとはまる瞬間
たとえば、アロマテラピー。リフレクソロジー。カイロプラティック、整体、オステオパシー、気功、ロルフィング。
職業病ともいえる肩こりゆえに、さまざまな技法の施術者にお世話になることことが多いのですが、目的は肩こり解消や体質改善だけではありません。何十年も人のからだを見つめてきた施術者ならではの、豊富な実体験に基づいた興味深いお話が聞けるのが大きな楽しみのひとつなのです。
なかには、すばらしい世界観の片鱗に触れさせてくれる先生もいます。昨夕、吉祥寺のカフェの取材帰りにお世話になったサロンの先生は、施術中、私の固まったからだとエネルギーをほぐしながら、にこやかに深く刺激的な話を聞かせてくれました。
先生の世界観の深さ、面白さは、腕を指圧されているにもかかわらず、ライター魂が激しく揺さぶられて、「ペン! 紙! 録音機!」と心の中で叫んでいたほど。
先生は舞踏家で、舞台の上に立って即興で踊るということを通して、長いあいだ自分のからだと本気で向き合っていらした方。からだと心への洞察の鋭さも尋常ではないのです。
「川口さんのエネルギーの質はとても柔らかい」とおっしゃるので、その質は持って生まれたものなのか、自分の意志で変えられるのかと質問しましたら、各自のエネルギーの質は、遺伝、体質はもちろんのこと、からだの中で自分の意志とは関係なしに動き続けている60兆もの細胞のひとつひとつや、生きている環境、時代やその国の集合的無意識、過去生の記憶などが縦糸、横糸となって織りなされる壮大な織りものなんですよ、と先生。
「だから『自分』なんてものは、それらをまとめる表面の皮一枚にすぎません」
この言葉が、ものすごく腑に落ちてしまったのです。すでに私はそんなとらえ方を意識下ではよく了解していて、あらためて明快に見えるかたちで呈示してもらったような。
施術中、ちょっと肘に違和感を感じて申告したら、先生は笑っておっしゃいました。
「大事なのはそういうことじゃなくて、どうすれば生きることに喜びを感じられるかに集中することです。したいことをどんどんしてください」
したいことは、しています。でもその中に葛藤があるのです……と申し上げたら、「あたりまえです」。
人間が生きている限り、どんなことをしていてもストレスは存在して当然。その悩みを含めた全体を「したいこと」として、まるごと濃く深く堪能すればいい、というお話を聞いて、ふっと、新しい風が吹くを感じました。
それでは先生は何を喜びとしているのですか、と質問したら「世界がぱちっとはまる瞬間」に出会うことだと教えてくれました。それはどんな瞬間かといえば…長くなるので、またいつか。
施術そっちのけで先生を質問ぜめにしている自分もどうかと思いますが、とにかく、先生が私のウィークポイントである首をぱちっとはめてくださったおかげで、今朝は気持ちよく目覚めることができました。








