content_top.gif
2011年02月27日(日曜日)

痛快ウキウキ通りを歩いて

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110227kawag.jpg春一番が吹いて、空気はまだまだ冷たいけれど、陽光が軽やかに跳ねているのを感じます。明るい色のあたらしいシャツが欲しくなる季節。

顔の見えない不特定多数の人々に向けて言葉を発信するときの基本の心は、むかし小沢健二の『痛快ウキウキ通り』に教わりました。

喜びの一瞬、これが素敵なのよね、こういうことが嬉しいのよね、という瞬間を、「そうそう!」と、誰かとわかりあうこと。それがどんなときも、この世界を熱くしてくれるということ。

『ほんわか茶飲み日誌』は、私のささやかなウキウキ通りでした。
2004年からなんと6年半にわたって続いた連載でしたが(こんなに長期間の連載、私は初めてです)、サイトのリニューアルにあたり、今回が最終回となります。長きにわたっておつきあいくださった皆さま、どうもありがとうございました。

終わるもの。はじまるもの。

3月からは建築専門誌上で連載が始まります。
こちらは毎回カラー2ページで1軒のカフェについて綴る写真エッセイ。ちょうど昨日、担当者が連載タイトルの素敵なロゴをデザインしてくださったところです。

そして3月24日は新刊書の発売日! 書店で見かけたら、ぜひお手にとってくださいますよう。

Web上では、ひきつづき東京カフェマニアAll About「カフェ」などでおつきあいくださいますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

そういえば『痛快ウキウキ通り』は、ひとりで喫茶店に入ってワインを飲んでいる歌でもありました。久しぶりに聞いて、ちょっと胸の奥を熱くしたりしています。それではまた。ご愛読ありがとうございました。

content_btm.gif content_top.gif
2011年02月20日(日曜日)

野田地図『南へ』、妻夫木聡 ×蒼井優

東京カフェマニア主宰 川口葉子

2月10日からスタートしたNODA MAPの舞台『南へ』を観てまいりました。

私にとっては『キル』以来、ひさしぶりのNODA MAP。上演中、舞台に倒れる妻夫木聡のもとに、女性が客席から音もなく駆け寄ってすがりつき、ものの数秒もたたないうちに劇場スタッフに整然と退出させられるというハプニングがありましたが、一連のことがあまりにも静かに混乱なく起きたために、途中までは大多数の観客が「こういう演出なんだ」と思っていたにちがいありません。

物語はタイムリーすぎて怖いくらいの、爆発的噴火の予兆に揺れる火山観測所で展開します。

  火の山が大好きな男(妻夫木聡)が、火山観測所に赴任する。
  その赴任先で待っているのは、虚言癖の女(蒼井優)。

  やがて、大噴火の噂が流れる。流れるのは、噂だけか。
  それとも、本当に溶岩が流れ出すのか…。

  不確かな情報、予知、夢、噂、群がるマスコミ…
  「信」じられないものばかりで織りなされる、
  まことしやかな火の山の物語。
                      (野田秀樹)

舞台に立つ役者さんたちには、映画のカメラの前に立つ場合とは異なる演劇的筋肉が要求されるものですが、二度目のNODA MAP参加となる妻夫木聡が驚くほどの好演を見せてくれました。日々多くのことを熱心に学び、自分の血肉にしたのだということがわかる確実で豊かな演技。

髪を思いきり短くした蒼井優も魅力的でした。今後さらなる成長を見せてくれそうですが、演技力とはべつに、彼女のたたずまいには不思議な、えもいわれぬ何かがあるんですよね。それが脚本家や演出家や監督を惹きつけてやまないのでしょう。

野田秀樹の脚本はいつも、ひとつの言葉が万華鏡のように色彩と意味をくるくる変え、変幻自在にふくらんで物語の蜘蛛の巣を紡いでいきます。

たとえば、このコラムのタイトル「ほんわか」を素材にするなら、ほんわかから「本」と「和歌」と「本歌取り」がとりだされ、本からは「図書館」と「本物」と「借り物」が生まれ、和歌からは「新古今和歌集」と「若者」と「牛若丸」と「輪っか」が生まれ、登場人物のひとりはワカメちゃんと名づけられた鳥で、脚に輪っかをはめている……そんな具合に。

今回のお芝居では言葉遊びは最小限。そのかわりに、身振りひとつで何通りもの表情に変化して目を楽しませてくれたのは衣装でした。上着を羽織った瞬間に、江戸時代の農民が現代の青年へ。それが帽子をかぶったとたんに、第二次大戦の日本兵に。イマジネーションを喚起する衣装はひびのこずえが担当。

アンデンティティを喪失した日本人、天皇と戦争とメディア。物語のなかに近年の野田秀樹が提出してきた硬質なテーマはいくつも見つけられますから、どのようにも読み解けそうなのですが、最終的にはそんな解釈を拒むようにして、舞台は闇のなかに淡い光芒をひき、わりきれない謎と余韻を残して終わります。

「…この芝居は、そうやすやすとは喩え話に変えることができないものだ、ということがわかった。…喩えられない話もこの世にはある。」(野田秀樹)

ひとつの舞台がわかりやすいテーマに回収されてしまい、生身の役者たちの肉体が発散する熱やしぶきが見えなくなってはつまらないですよね。

カーテンコールのとき、妻夫木聡の感極まったような表情にはっとしましたが、帰宅してから、この日彼が映画『悪人』で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞したことを知りました。

content_btm.gif content_top.gif
2011年02月12日(土曜日)

レイチェル・カーソンの感性の森

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110212kawag1.jpg渋谷アップリンクで2月26日から上映される映画『レイチェル・カーソンの感性の森』の試写を観てきました。

レイチェル・カーソンに対してはかねがね尊敬の念を抱くと同時に、なにかしら魂の近くで語りかけてくれる年長の友人のような親しみを感じてきました。

心の友としている一冊は『センス・オブ・ワンダー』-不思議や神秘に目をみはる感性。
この小さな美しい本の冒頭、暴風雨の夜に愛する甥っ子を抱いて海岸に降りていき、荒々しい自然の中に身をさらす喜びを綴った文章を愛してやみません。

映画はレイチェル・カーソンが晩年を過ごしたサウスポート島の海辺の別荘を中心に、作家の最後の一年間を描くドキュメンタリーのように展開していきます。

110212kawag2.jpg殺虫剤や化学物質の危険性を警告した『沈黙の春』の出版後、レイチェル・カーソンは化学薬品会社からの激しい批判攻撃にさらされます。
関連企業にとっては、彼女の本は大いなる不利益を招くもの。カーソンは反対派のネガティブ・キャンペーンによって「ヒステリックな女性」に仕立てあげられてしまいますが、最後まで屈しませんでした。

映画ではそんな大論争が描かれるのではなく、ただ彼女が「業界からの反発は覚悟していたけれど、これほどとは予想していませんでした」と静かに、少し疲れた微笑を浮かべて語るところから始まります。このときすでに彼女はガンに冒されていました。

レイチェル・カーソンを演じたのはカイウラニ・リー。彼女はカーソンの著作を読んで感銘を受け、一人芝居の脚本『センス・オブ・ワンダー』を執筆。18年間にわたって欧米各国や日本で演じてきました。

「自然と触れあえば、自然と恋におちる。
 それこそが地球を守る唯一の方法なのです。

 自然の中に身を置けば、自分がその一部だということを
 実感できるでしょう。

 自然のシステムは、人間のシステムとは違います。
 独特のリズムやサイクルがあり、
 私たちにはとうてい理解の及ばないバランスが
 とられているのだと思います」

このカイウラニ・リーの言葉は、レイチェル・カーソンのメッセージそのもの。

強く興味を惹かれるのは、スクリーンに映しだされる海辺や森のみずみずしい風景。そう、カーソンの『センス・オブ・ワンダー』の冒頭に綴られたあの海を見ることができるのです。
10歳という設定の甥っ子のロジャーが日がな一日、海岸で遊んでいる光景もさしはさまれています。

派手な演出などいっさい抜きにした55分の淡々とした作品ですが、誠実で力強い。床暖房のようにじんわりとあたたかく続いていく勇気をわけてもらいました。

content_btm.gif content_top.gif
2011年02月06日(日曜日)

おおげさな人

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110206kawsag.jpg「頭がちょっと痛い」というのと、「割れそうに痛い」の差はどれくらいあるのでしょうか。
人によって痛みの感じかたはまるでちがいますね。他人が感じている肉体的な痛みの程度は、表情や症状からおしはかるしかないので、本当のところはわかりません。

それでも、長年いっしょに暮らしている人の表現はだんだんにわかってくるもので、夫の「ものすごく痛い」は、私にとっては「けっこう痛い」程度にすぎないようです。
つまり、彼はちょっとの痛みで大騒ぎをするたち。私は痛みに対して比較的がまんづよいので、その差はかなり開きがあります。

結婚したてのころは、夫が風邪をひいてのどが痛いんだなどと悲劇的な表情で叫ぶたびに本気で心配したものですが、このごろは「それだけ大声が出せるんだったら大丈夫」と、すばやくオーガニック・マヌカハニー(一般的なはちみつの数倍の殺菌力を持っています)など食べさせてほっておくことにしています。

年明けに自宅で初ワインを開けたとき、夫はコルクを包む薄い金属製キャップシールで指先を切ってしまいました。傷口はわずか1センチほどでしたが、バンドエイドを貼ってよ~とにぎやかなので、夫の口に貼りたい衝動をこらえて、優しく指先を保護してあげました。

あきれたことに、彼はその手を頭上にかざしているではありませんか。「傷口は心臓より高くするのが常識なんだよ!」とか言っちゃって。

ワインを飲みながら笑ってしまいました。動脈を切ってどくどくと血が流れているならともかく、1センチの浅い傷でそんなことをする人がいるでしょうか?

そして先週、夫は珍しく38℃の熱を出して病院でインフルエンザと診断され、何種類もの薬を持たされて熱が下がるまで自宅で寝ているようにと宣告されました。

もともと丈夫で免疫力もありますから、翌日にはあっさり平熱に下がったのですが、大事をとって二泊三日でベッドに滞在した夫。
4日目の朝、いつもの生活に復帰するなり「床ずれになるんじゃないかと不安だったよ」

たった三日間ベッドの中にいただけで、しかも元気いっぱいに寝返りをうっていたあなたに、どうして床ずれができるのよ?…と、思いきり笑ってしまいました。

content_btm.gif content_top.gif
2011年01月28日(金曜日)

いしころカフェ(神戸・岡本)

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110128kawag1.jpg神戸の岡本という地名になじみがあるのは、2006年に出した本『カフェの扉を開ける100の理由』のなかで、岡本のカフェ「甜蜜蜜」やその姉妹店、yuddyを紹介したせい。
日がな一日、岡本の品の良い住宅街をあてもなく散歩しては壮大な迷子になったりして楽しんだために、ひときわ愛着を抱いています。

その岡本にいらっしゃる女性から、カフェのオープンのお知らせをいただきました。「いしころカフェ」の原田さと子さん。
子どものころからカフェを開くという夢を抱き、これまでにフレンチのお店でデザートパティシエ、珈琲専門店でホールスタッフ、イタリアンでの厨房など、さまざまな飲食店で経験を重ねていらした人です。

 いしころカフェ
 【住所】神戸市東灘区本山北町3-6-10
 【TEL】 078-411-7121

お店はどんな雰囲気ですか、とおたずねしてみました。
「カフェブースは2つにわかれており、入口近くはステンドグラスの明るい雰囲気、奥は、「あなぐら」をイメージし、ほの暗い、落ち着く空間になっております」とのこと。なるべく自然素材を用いて、壁は自分たちで珪藻土を塗り、手すき和紙を貼ったりしたそう。

スタッフにコーヒーのスペシャリストや、割烹とフレンチで修業したシェフをそろえ、「ころころご膳」(980円~)のような化学調味料を使わずていねいに手作りする野菜たっぷりのランチや、パティシェが作るスイーツが楽しめるようです。

人気のメニュー「ころころご膳」は、お吸い物、雑穀ごはん、野菜とお豆の小鉢3品、メイン、ほうじ茶つきで980円。

110128kawag2.jpgこのご膳がたまに「お寿司の日」になるそうなのです。写真左上のふくさ寿司・絹田寿司・おいなりさんの3品盛りがそれ。彩りも美しく、写真を見ているだけで手を伸ばしたくなりますね! 

このお寿司は京都の割烹で修行を積んだ女性シェフが、修行先の料理長から教えわった秘伝のすし酢の配合でつくるのだそう。3品それぞれの具は、梅で味付けをしたひじき/甘辛く炊いた椎茸と人参/大葉と昆布とガリ。

和食のかなめはお出汁ですよね。お出汁のとりかたにもさまざまな流儀がありますが、原田さんに教えていただいたコツは:

「じっくり水にひたした昆布を、沸騰させないようにすること。昆布を引き上げた後は、差し水をして沸騰をおさえ、削り節を入れること。削り節が踊ってきたタイミングを見計らい、火をとめて、カツオが沈みかけた頃を見計らって、しずかに濾すこと」。

いずれも基本をしっかりおさえるのが大切、ということですが、はっとさせられたのはその次の言葉でした。

「出汁をとる際には、それに集中すること。そして一番は、やさしい気持ちで出汁をとることです」

私は出汁をとるときに、やさしい気持ちでいるだろうか…と、我が身をふりかえってしまったのです。

お料理のひとつひとつの土台にそんなやさしい出汁が沁みているせいなのか、はじめは無愛想でイライラした様子だった人が常連客になってくれたり、お客さまが宣伝役を買って出て、いしころカフェの前で「ここ、良いよ!」と、他のお客さまを呼び入れてくれたりしているようです。幸せなカフェですね。

(写真右上は3種類の具が選べる「いしころピタサンド」(850円~)。これは「きのこのハーブソテーとチーズフォンデュ」。本当に野菜たっぷりなのです)

content_btm.gif content_top.gif
2011年01月24日(月曜日)

またしても、断捨離

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110123kawag.jpg住まいを美しく保つ技術には、数年ごとにブームが訪れますね。
たとえば、重曹などの自然素材を使っておそうじをする方法。あるいは、収納のプロが指導する徹底的な収納管理のわざ。これは自宅をリフォームしてりっぱな収納戸棚をつくらなくても、ティッシュの空き箱や100円ショップで売られているような素材を活用して、こまごまとしたものをきっちり整理整頓する方法でした。

ハウスキーピングにも性格的な向き、不向きがあるようで、私は収納の達人が指南するおかたづけ術が本当に苦手でした。

たぶん、きっちりとスキのない状態を息苦しく感じるためでしょう。戸棚を開けると、牛乳パックを利用して作った箱が整然とならび、それぞれにぎっしりと小物がつまっている…というような光景を想像すると、ぞっとしてしまうのです。

増えつづけるモノたちを前に、なすすべもなしと思っていたところに現れたのが「断・捨・離」(だんしゃり)。半年ほど前から話題になっているので、ご存じのかたも多いかもしれませんね。

そのエッセンスは、家の中には「いま」の自分に必要なものだけを置く。それ以外のものは思いっきり思いきってすべて処分してしまう!という痛快な考え方。

ものを捨てるかどうかを決断する過程で、自分がこだわり、足をひっぱられている想い出はなんなのか、執着している未来はなんなのか、ということに対峙せざるをえないので、自分自身の迷いや執着をあきらかにすることにもつながります。

つまり断捨離は、ハウスキーピングを通して、身軽な、執着しない生きかたを知ること。

新刊の初稿ゲラも無事に校正が終わり、自由な心で過ごせる日々が戻ってきたので、さあ再び断捨離にとりかかりましょう! その前に、志気を高めるためにあの本を読み返さなくては……と思ったら、その本が見あたりません。どこにしまっちゃったのでしょう。

購入したのは2年も前のこと、提案者やましたひでこさんの最初の著書でした。
そのときに実施した私の最初の断捨離は、90年代初頭に購入したシャネルのバッグ3個、シャネルのスーツを手放すにはいたらない小さなスケールだったのです。エルメスのスカーフたちは大半を人に譲ることでさよならできたのですが。

今回こそはあれらの遺産をゴミ袋行きに、と決意を固めつつ、これから断捨離の最新の本を買いに行ってまいります。あーあ、こうして不要なモノが増えていくんですね。

content_btm.gif content_top.gif
2011年01月15日(土曜日)

「カフェのような家」のつくり方。

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110115kawag2.jpgPLUS 1 LIGING(プラスワンリビング)』2月号(主婦の友社)は自宅をカフェのようなインテリアにする大特集。少しだけご協力させていただいたのでご紹介しますね。

巻頭は実際におうちをカフェのテイストでコーディネートしている方々の実例紹介ページ。
これがもう、どのお宅も驚くばかりの完成度なのです。ページをめくると、ニューオープンのカフェが紹介されているのかと間違えそうなほど。

「整然」とは異なるあたたかな余韻を漂わせた、ゆるやかな整えかた。暮らし心地の良さを第一にしたインテリアの魅力。

110115kawag1.jpgあるお宅は自分たちで壁に漆喰を塗り、時の流れがあめ色に変えた古い家具を揃えて、作家もののうつわでお食事を。

またあるお宅は暖炉と格子窓を設けて、クールなのにあたたかみのあるTRUCK FURNITUREの家具でくつろぎのスペースを演出。大阪にあるTRUCKのカフェと見まごうばかりの素晴らしい空間です。

さらに、あるお宅は築120年になる曾祖父の古民家をリフォーム。古びたかまどをそのまま大切に残し、ノスタルジックな細工のほどこされた建具や、味わいのある古道具を配して、贅沢なゆとりのある住まいをつくりあげています。

どのお宅も明日…どころか今日からでも、カフェが開店できてしまうのです。
竹かごやガラス瓶を使って、雑貨の収納とディスプレイを両立させる工夫など、実用性と美しさをともに楽しむカフェの得意技を巧みに取り入れていることにも目をみはりました。

外食する機会が減って、自宅でのんびり過ごす時間が増えた人も多い昨今、暮らしをより豊かに充実させたいと思ったら、環境をととのえるのは当然のなりゆきですね。

友人の部屋のようなカフェ。
カフェのようなおうち。

両者のたたずまいが限りなく接近して、もはや違いが見分けられなくなっているなら、あえてカフェに行かなくても……と思う人もいるでしょうか。

でも、カフェには街角の新鮮な空気が吹いています。街の見知らぬ人々と空間を共有し、偶然と縁に導かれて知らないものごとに出会っていけることは、カフェにしかない魅力。

今年は外の楽しみと家の楽しみ、それぞれをますます充実させたいと思いつつ、私は廊下の壁際にタワーのように積み上げた本をよけながら歩いているのです。

content_btm.gif content_top.gif
2011年01月08日(土曜日)

岡山のカフェ、signeの「肉ソン大統領」と「BonBonタルト」

東京カフェマニア主宰 川口葉子

110108kawag1.jpgカレーとケーキって、小さな子どもの頃からみんなが大好きだった食べものですね。
岡山のカフェ、signe(シグネ)はそのカレーとケーキが好評のカフェ。「大きいケーキ」はそのボリュームもさることながら、テイクアウトのための1ピース用オリジナルボックスがとても魅力的。

今年、signeがプランタン銀座や玉川高島屋SCなどの催事に「BonBonタルト」を初出店します。

「BonBonタルト」はひとくちサイズの“ほっこり系プチタルト”。小さなタルトカップの中に色とりどりのフルーツやクリームをつめこんだ12種類。パーティーのお皿に並んでいたら、前菜そっちのけで真っ先に手を伸ばしてしまいそうな可愛いルックスです。(写真右下)

種類は季節によって変わるようですが、催事に登場するのはピンクグレープフルーツ、キャラメルナッツ、抹茶、清水白桃、にんじん、チーズ、チョコレートバナナ、洋梨、むらさきいもなど。

BonBonタルトの出店スケジュールは以下の通り:

【12/1~3/14】プランタン銀座
【2/9~2/15】玉川高島屋SC
【3/1~3/30】明大前スイーツモード(ルエンテ明大前)

110108kawag2.jpg

同じsigneから“日本一かわいいレトルトカレー”も発売になりました。その名も「CURRY OF 肉ソン大統領」!(笑) 水玉模様の包装がカフェならではのセンスで、従来のカレーにはない空気を漂わせています。

とにかくお肉にこだわったこのカレー、一般的な甘口/辛口の分類ではなく、お肉の部位ごとに6種類のラインナップ。「牛バラ」「牛チマキ」「牛肩ロース」「牛ホルモン」「牛スジ」「お肉2.5倍」と揃っています。

お肉は部位によって風味が違いますから、カレーの味もそれぞれ微妙に変えているのですって。カレールーのベースは鶏・豚・牛のトリプルだしに香味野菜。

じつは私、レトルトカレーのお肉が苦手なのですが(とくにあの脂身のぐにゃりとした食感が…)、「牛肩ロース」などたいへん食べやすく、辛さよりも旨味を優先してあって、これなら誰にでも好かれそう、と思いました。

肉ソン大統領の詳細とオンラインストアはこちら

口ひげの肉ソン大統領のキャラクター(リチャード・ニクソンには全然似ていません)は「国民の皆様を、『肉かわいい』カレーで幸せにします」とマニフェストを述べています。

次は「栗ントン大統領」という名のモンブランもいいですね(笑)

signe(シグネ)
岡山県岡山市北区問屋町9-101
Tel 086-244-5501

content_btm.gif content_top.gif
2010年12月27日(月曜日)

エチオピアの薔薇

東京カフェマニア主宰 川口葉子

101224kawag2.jpgクリスマスはいかがお過ごしでしたか。私は銀座の小十のカウンターで充実した夕食を楽しんだ以外は、目をしばたたかせながらパソコンに向かっておりました。帰りに持たせてくれた鯛めしの残りの折り詰めが、翌朝なんと優しく空腹を満たしてくれたことか。

* * *

表参道の国連大学前広場で毎週末にひらかれるファーマーズ・マーケット@UNU。回を追うごとににぎわいを見せ、各地で農業を営む人々がとれたての野菜や果実をはじめ、さまざまなものを並べています。

こういう場所を楽しむコツは、「なにも買わずにひやかして帰ろう」と思うのではなく、「イキのいいものを買って帰ろう」と決めて参加することですよね。そうすると、たくさんの情報が自分に関係あるものとして迫ってきます。

ファーマーズ・マーケットを訪れるたびにいいいなあと思うのは、ごろごろしたジャガイモや林檎やジャムごしに、とにかく人と人とが言葉を交わしていること。屋台の前に立ちどまって野菜を眺めていると、それを育て、収穫した人が気さくに声をかけてくるのです。

この作物のチャームポイントはなにか。どうやって料理したらいちばんおいしいか。
なにしろ自分が丹精したものですから、よく知っているし、お客さまにも知ってほしいという熱意があるのですね。

「私たちがつくりました! とっても甘いサツマイモですよ」と可憐な声をあげていたのは、茨城県から来た農学部の女子学生たち。

101224kawag1.jpgそんなにぎわいの中に、色とりどりの薔薇が無造作に並べられた一角がありました。エチオピア産の薔薇です。

「3本で500円、おまけしますよ」という声につられて淡い色ばかり3本を選ぶと、花びらの表が赤、裏側は黄色のつぼみを1本、おまけに付けてくれました。

いっしょにいただいてきたパンフレット「エチオピアン ローズ プロジェクト」によれば、エチオピアでは近年、薔薇がコーヒーにつぐ輸出品として注目を集めているのだそう。

すでにたくさんの薔薇が日本の花屋さんの店頭に並んでいるにもかかわらず、それがエチオピアで栽培されたものだとは、花屋さんも知らないことが多いようです。

エチオピアは私が溺愛するコーヒー豆の産地。それが農薬問題で輸入禁止となったのはつい最近のこと。働く人々の健康や環境よりも、とにかく早く収入を増やすことを優先せざるをえない事情があるのでしょう。

薔薇の栽培にも、きっと農薬は欠かせないのだろうなと想像しないわけにはいきません。それは日本でもまったく同じなのですけれど。

ややこしい背景をよそに、アンティークのガラス瓶にさした薔薇たちは、パソコンの横でそっと花を開きました。

content_btm.gif content_top.gif
2010年12月17日(金曜日)

フレンチトースト専門カフェ「cafe Haru&haru」

東京カフェマニア主宰 川口葉子

101217kawag1.jpgフレンチトースト専門のカフェがオープンしました。自由が丘のお隣、緑が丘の「cafe Haru&haru」。

お店からお知らせをいただいて興味をひかれましたが、ただいま次の著書の原稿締切を目前に、毎日パジャマ姿でパソコンに向かっている情けない状態。たまに外出すると、ちゃんと着替えているのにパジャマで歩いているような違和感をおぼえてしまいます。

皆さまにお伝えしますので、もしcafe Haru&haruに行く機会があったらご感想を聞かせてくださいね。

cafe Haru&haru
東京都 目黒区緑ヶ丘3-1-6 
Tel 03-3718-2188
Open 10:00~19:00 (月休)
※東急大井町線「緑ヶ丘」駅より徒歩3分

メニューはプレーンのフレンチトースト(600円)以外に、スイーツとして楽しめるもの、食事として楽しめるものが12種類ほど。
「オレンジと練乳クリームのフレンチトースト」(750円)、「マロングラッセと紅茶クリームのフレンチトースト」(900円)など、想像すると幸せな気持ちになりますね。

お店のかたに、なぜこのようなカフェを開いたのか質問してみました。

101217kawag2.jpg「以前働いていたお店で、使われない食パンの耳をいくつか塊にして、フレンチトーストを作っていたのです。それから7年間の試行錯誤の末に、最高においしいフレンチトーストが完成したので、みんなに食べてもらいたいという気持ちが強くなったのがきっかけです」

昔ながらの食パンで作るフレンチトーストと、バゲットで作るフレンチトースト。どちらにもファンがいると思いますが、cafe Haru&Haruが使うのは無添加のフランスパン。近所のパン屋さんで、このフレンチトーストのための特別なバゲットを毎朝焼いてもらっています。

おいしく仕上げるコツは、温度管理につきるのですって。焼く温度を一定に保つことが大切だそう。

人気のメニューを挙げていただきました。

●りんごとココナッツクリームのフレンチトースト
●アーモンドとヘーゼルナッツシロップのフレンチトースト
●海老とズッキーニのフレンチトースト

ダスティン・ホフマンが映画『クレイマー・クレイマー』の中で息子に作ってあげたフレンチトーストが、なんだかまずそうだったことなど思いだすと、写真のふんわり香ばしそうな色合いがますます魅力的に見えてきます。

content_btm.gif