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2010年05月30日(日曜日)

カフェとポール・オースターのスモーキーな関係

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100530kawag.jpgポール・オースターが脚本を書いた『スモーク』は、映画マイ・ベスト10のひとつ。カフェのオーナーの中にも、ことのほか『スモーク』を愛している方々が多いのを感じます。

それはブルックリンの町角に佇んでいる、いかにもニューヨークの下町らしい煙草屋が、彼らの理想とするカフェの姿に似ているからに違いありません。

それぞれに心の痛みをかかえた人々が毎日、散歩ついでにふらりと入ってきては、煙草を買うついでに店主と立ち話をしていく場所。

たとえば、愛する妻の死という大きな喪失感を抱えながら、表面的には淡々と生きている小説家。彼は煙草屋の店主が「毎日、毎時刻に、決まった位置から店の前の大通りに向けてカメラのシャッターを切るんだ」と見せてくれた数千枚の写真の中に、亡き妻の姿が写っているのを発見します。

ありふれた日常にちりばめられている限りない奇跡。悲しみのなかに芽生える、あたたかな笑いと小さな希望。

拙著『京都カフェ散歩』のなかにも書き記したのですが、この映画にならって、毎日決まった時刻に、カフェの小さな店内から表のオープンテラスに向けてカメラのシャッターを切りつづけているオーナーがいます。

彼がコーノ式ドリッパーを使って淹れたコーヒーを楽しみながら、静かなカフェのテーブルで、撮影した写真集を見せてもらいました。
もしもこのアルバムの中に、亡き友人知人の姿をみつけたりしたら、私はあの妻を亡くした小説家そのものだと思ったのですが、さすがにそんなことは起こらず。

先週、ブログにポール・オースターのナショナル・ストーリー・プロジェクト』の日本版が開始される、と書いたら、それを読んだ東京のあるカフェのオーナーから、「じつは自分のカフェの名前は、映画『スモーク』の定点観測撮影からも来ているんです」というメールをいただきました。いつか、あの煙草屋のようなカフェになれたら、と。

べつの、ある小さなバールのようなカフェに取材に行ったときも、オーナーに理想のカフェを訪ねたら「『スモーク』の煙草屋のような場所」という答えが返ってきたことがあります。
それを聞いたら、もうすべてが納得できたように思われて、これ以上の質問は蛇足とさえ感じました。

またラストシーンで、カフェの片隅で向かい合う煙草屋ハーヴェイ・カイテルと小説家ウィリアム・ハートの顔にじんわりとひろがっていく微笑が、たまらなくいいんですよね。
やがて流れてくるトム・ウエイツの素晴らしいだみ声の歌とともに、忘れられない名場面です。

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2010年05月21日(金曜日)

WIRED CAFEの贈りもの:CD『Feel』のふんわり名人

東京カフェマニア主宰 川口葉子

090421kawag1.jpg人気のWIRED CAFEが手がけてきたカフェ音楽のコンピレーション・シリーズ。好評につき4枚目がリリースされるそうです。スタッフからこんなメッセージが届きました。


 WIRED CAFEが贈る、人気カフェミュージックコンピ
 第4弾「Feel」が5月26日に発売です!!

 今回は実際にワイアードカフェで働くスタッフに
 アンケートを取って、それをカヴァーしコンパイルした、
 今までにありそうで無かった新しい企画♪

 そしてその楽曲たちを、i-depやBE THE VOICEを初め、
 カフェシーンで人気のアーティストたちが
 洋楽邦楽問わずカヴァーしてくれてます!!

 やっぱり、心地よいカフェミュージックを一番知っているのは、
 カフェのスタッフですよね!
 是非その「Feel」を感じて下さい!
 
    by common ground recordings スタッフ


カフェスタッフが選んだのはどんな曲? 興味を抱いてサイトをのぞいてみたら、エルトン・ジョンの「Your Song」、キャロル・キングの「 (You Make Me Feel) Like A Natural Woman」などの名曲に混じって、小沢健二の「ラヴリー」が。

かつて、小沢健二=オリーブ少女=カフェ、という素敵な三角形がつくられていた時代がありましたね。小沢健二とカフェは、エスプレッソとチョコレートのように親和性の高い組み合わせ。歌詞のなかにも喫茶店、お茶、ワイン、東京タワーが印象的に登場しますよね。あ、東京タワーはカフェとは関係ないけれど。

そんなわけで、さっそくサイトで視聴してみたら、歌っているNAOMILEさんのスイートな声にびっくり。プロフィールにはこう書かれていました。

  一度聴いたら忘れる事の出来ない女性らしく温かみのある歌声から、
  巷では「ふんわり名人」と呼ばれている。

ふんわり名人! 素敵なネーミング。

BE THE VOICEが歌うエルヴィス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」は、50年代のメンフィスの香りがした傷心ホテルではなく、まさに2010年のカフェの香りがする傷心ホテル。

10曲すべてが、カフェの空気をたっぷりと感じさせてくれるアルバムです。

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2010年05月14日(金曜日)

『東京ふつうの喫茶店』泉麻人

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100514kawag1.jpg
東京ふつうの喫茶店』(平凡社)
Amazon、書店などで予約受付中


泉麻人さんといえば散歩エッセイの大先輩。歩いたりバスに乗ったりしながら見聞きした東京の街角の文化を、独自のキレのある視点、肩の力の抜けた軽やかな文章で綴ってこられました。

80年代の泉さんの作品『ナウのしくみ』は、バブル期の空騒ぎをシニカルな観察眼とコミカルな文体でとらえた名著。いま読みかえすと、あらためて多くの発見があります。

当時から20年以上を経た現在の泉さんのコラムの魅力は、飄々としたおじさんぶりと、そこはかとなく漂う「東京育ち」のエスプリ。かつて赤塚不二夫の「シェー」のポーズを熱心にやっていたであろう都会の子、という空気が感じられるのです。

その泉麻人さんが、平凡社から新刊『東京ふつうの喫茶店』を上梓されました。これは2008年末まで読売ウイークリーに連載されたエッセイと、読売ウイークリーの休刊後、平凡社のWebサイトに移動して『喫茶店ブルース』のタイトルで続けられている連載をまとめたものです。


巷にカフェは増えたけど、
昔ながらの“喫茶店”はめっきり減ってしまった。
カフェラッテやらエスプレッソマキアートやらを
紙コップのフタの小穴からチューチュー吸いながら
町を歩くのもたまにはいいが、
中年男としてはかつて“サテン”と呼んでいたような
店の方が落ち着く--       『喫茶店ブルース』扉より


たとえば、カフェ好きの方々もよくご存じであろう高円寺の老舗「七つ森」については、こんなふうに綴られています。

ちなみに、私が「七つ森」オーナーの松沢忍さんにインタビューさせていただいたお話しはこちら

100514kawag2.jpg比較すると面白いのですが、私の場合は「七つ森について知りたい取材者がインタビューした」というスタンス。
それに対して、泉麻人さんの場合は「ふらりと喫茶店に立ち寄って、カウンターの中の人に声をかけて聞いた小話」なんですよね。

そのゆるくて淡々とした感じがまた、紹介されている「ふつうの喫茶店」の空気感と呼応しているのです。そのなかに、時おりきらり光る観察眼の鋭さはさすが。

喫茶店好きの方はお手元にぜひ一冊! 甘く可愛らしい乙女メガネを通して眺めるレトロ喫茶店ではなく、おじさんメガネを通して眺める喫茶店の世界が満喫できるでしょう。

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2010年05月08日(土曜日)

「呼ばれる」 喫茶編・担々麺編

東京カフェマニア主宰 川口葉子

0508kawag.jpg連休はいかがお過ごしでしたか。

私はある男性誌に「コーヒーのおいしい喫茶店を10軒紹介してください」と依頼され、担当ライターの方に「ぱっと見ただけで、その喫茶店のコーヒーがおいしいどうか判断できるポイントはありますか?」などと、いささか無茶な質問を受けておりました。

そもそも、私の喫茶店さがしの発端は学生時代。卒業制作の小説書きに集中するために、喫茶店を必要としていたのです。

しかし、いくらお財布のさみしい学生とはいえ、コーヒー一杯であまりに長居するのはさすがにはばかられます。
おかげでつねに原稿用紙と辞書と鉛筆を抱えて街を歩きながら、落ちついて小説の書けそうな喫茶店を探すくせがついてしまったのです。

その時代につくられた下地と、長い会社員時代に散歩ついでにカフェを捜す習慣があったおかげで、動物的な勘が磨かれて、ときどきおいしいコーヒーのほうが私を呼んでくれることがあるんですよと申し上げたら、ライターのかたが「ああ!」と声をあげました。

「以前、担々麺をとりあげた回で、担々麺の探求者が同じことを言っておられました。担々麺に呼ばれることがあるんだそうです」

担々麺に‥‥、呼ばれる‥?

「路地裏に迷いこんで、担々麺などありそうもない古くて小さな中華料理屋の前を通りかかったときなんか、不思議にぴんと来て入ってみると、メニューのすみに担々麺があったりするんだそうですよ。やっぱりいつも担々麺を捜しているうちに、自然に担々麺に呼ばれるようになったんだとおっしゃってました」

求めよ、さらば与えられん。それにしても、世の中にはちょっと毛色の変わったものを探究する人がいらっしゃるものですね。

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2010年04月23日(金曜日)

ラテアート・チャンピオンのSTREAMER COFFEE COMPANY オープン

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100423kawag2.jpgSTREAMER COFFEE COMPANY
(ストリーマー・コーヒー・カンパニー)
 

【住所】東京都渋谷区渋谷1-20-28
【TEL】03-6427-3705
【OPEN】8:00~18:00、日休
【MAP】Yahoo!地図情報


フリーポア・ラテアートのワールドチャンピオン、澤田洋史さんがご自身のコーヒーショップをプロデュース。4月22日の夕方にオープニング・レセプションがおこなわれました。

澤田さんといえば、ニコンのCMに出演し、木村拓哉の目の前でするするとラテアートを描いてみせるシーンが印象的。また、マックカフェの広告に使われたラテアートも澤田さんが描いたものです。

その澤田さんが初プロデュースするお店は、イタリアの歴史あるバールではなくて、完全にアメリカのストリート仕様でした。細部まで緻密につくりこんだデザインよりも、ライブ感溢れるざっくりしたデザインを志向。

壁に飾られたスケートボードが象徴的ですよね。このボードの上にも、澤田さんのシンボルである「トリプルロゼッタ」がデザインされていました。(写真右下)

100423kawag1.jpg各方面から注目を集めているのでしょう、店内は大盛況で、カウンターの前には長蛇の列。澤田さん率いるバリスタチームが、休む間もなくラテを作り続けています。

小さな紙コップなのに、トリプルロゼッタ!

描いてもらった男性が感動して
「えーと、この模様はなんだっけ、トリプル・・・」
と言いかけると、すかさず友人らしき人が
ルッツ!」
と言い添えて、後ろに並んでいた私は笑いをこらえました。
私のほうは、頭の中で
サルコウ!」
と続けていたのです。大輔・真央選手の応援のしすぎですね。 

澤田さんがせきたてられるようにコーヒーショップをオープンしたのは、ニコンやマックカフェのCMを見た人々から、「あのラテアートはどこで飲めるの?」という、ほとんどクレームに近いほどの熱烈な要望があったため。

渋谷に出かけたら立ち寄ってみてくださいね。端正で格調高いラテではなく、ワイルドで美しいラテが目の前でつくられていく楽しさ、そしておいしさを体験できるでしょう。

なにしろ完璧なラテアートは、エスプレッソの抽出が成功していること、ミルクが正しい温度できめ細かく泡立てられていることの、最高の証拠なのです。

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2010年04月16日(金曜日)

銀座トレシャスのヴェネチア料理、バーカロ『バラババオ』

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100416kawag1.jpg4月16日、つまり今日、銀座2丁目に商業施設「銀座トレシャス」がオープンします。

プレス内覧会に行ってまいりましたので、カフェ好きの方は後日、All Aboutg[カフェ]上で、渋谷から銀座に進出したSUZU CAFEの詳しい記事をご覧いただけましたら幸いです。

こちらでは、銀座トレシャス9階に誕生した「BARABABAO(バラババオ)」という早口言葉みたいな店名のバーカロについてお伝えしましょう。
イタリアワインも小皿料理も種類豊富、リーズナブルで使い勝手の良さそうな一軒です。


BARABABAO(バラババオ)
 東京都中央区銀座2-6-5 銀座トレシャス9F
 Tel 03-3535-7722
 メトロ「銀座一丁目」駅より徒歩1分・「銀座」駅より徒歩5分


バーカロとは、ヴェネツィア地方特有のオステリア、つまり料理の充実した居酒屋のこと。メニューの主役はワインとチケッティ(小皿料理)。スペインのバル流に言えばタパスでしょうか。

BARABABAOはヴェネツィアで100年以上続く老舗のバーカロを再現。シェフも現地バーカロで修業し、バーカウンターなどのインテリアもみなイタリアから直輸入したそう。

お店を入ると、まずバールの立ち飲みコーナーがあり、奥に食堂スペースがひろがっています。真っ先に目を奪われたのは、天井に吊られたたくさんのお鍋。これも本場のスタイルなのだとか。

ヴェネツィアは海の幸に恵まれた都市で、自慢のチケッティにも魚介類を駆使。もちろんバラババオにも充実した魚介料理の数々が並んでいました。
とりわけおすすめの一皿は、自家製の生パスタを使った「魚介のラグーソースのフェットチーネ」(1380円・写真)。

店長さんはソムリエでもあるとのこと。このフェットチーネに合うワインを訊ねたところ、同じフリウリ州産の白ワイン、LIVONのミュラー・トゥルガウを勧めていただきました。ほのかな優しい甘み。これがなんとグラスで410円! 120種が揃うイタリア直輸入ワインは、グラスで300円から楽しめるのです。

それにしても、私たちは食を通して次々に海外の文化を覚えていきますね。

企業に入社したばかりの新人だったころ、私がまず知ったのは「リストランテとトラットリアの違い」でした。それから「ピッツェリア」「オステリア」「バール」などという言葉に次々に出会っていきましたっけ。

ここにきて、バーカロ。もはやイタリアのあらゆる料理店のスタイルが、東京に持ち込まれたような気がしてきますね。それともイタリアはまだ、私たちの知らない隠し球を持っているでしょうか?(持っていてほしいものです)

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2010年04月09日(金曜日)

じくじくと、後退りする

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100409kawag.jpg言葉を耳から覚える機会が多い人と、文字を通して目で覚えることが多い人がいます。言葉の記憶違いにも、両者の違いが面白いほどあらわれるものですね。

とても若くて、まだ結婚していなかったころのお話。のちに夫となる人が、その友だちにむかってこんな言葉を発しているのを聞いて、くらくらしてしまったことがあります。

「それについては僕も、じくじくたる思いなんですよ」

もちろん正しくは、忸怩(じくじ)たる思い。

さらりと聞き流してあげようと思ったのですが、その後も彼が「じくじくたる思い」を連発するので、たまりかねて「そうとう傷口が化膿しちゃったみたいですね」と言ってしまいました。

そんな夫も先日、電話口で立派に「忸怩たる思いです」と述べておりました。(ちなみに彼が使う忸怩は、本来の用法「恥じ入る」の意味ではなくて、近年になって加わった用法「どうすることもできなくて、内心非常にもどかしい」の意味のようです)

夫は言葉を耳から覚えるタイプなので、こういう覚え違いが生まれるのだなと面白く思いました。もしも本のページの上に「忸怩」とあるのを覚えたのだとしたら、たいていの場合は横に「じくじ」とルビがふられていますから、この間違いは生まれにくかったでしょう。

いっぽう、私は言葉を目で覚えるタイプなので、聴覚型の人とは異なる覚え違いをやらかします。

小学生のころ「あとずさり」と書かれていた言葉を「あとさ+ずり」と覚えてしまったのがその一例。長じて「後退り」という漢字に出会ってから「あと+ずさり」だと気がついて、ひとりで赤面、忸怩たる思いをしました。

でも、子どものころにしっかりと記憶した言葉って、脳の中で訂正することが難しいのですよね。
現在でもまず最初に「あとさずり」が頭に思い浮かび、その後すぐに「ちがうちがう、後退り」と訂正するというパターンが固定してしまったので、人前ではこの言葉を口にしないように気をつけています。

インターネット上ではときどき「うろ覚え」のことを「うる覚え」と書いているものを見かけますね。早口で「うろ覚え」と発音すると「うる覚え」に聞こえがち。典型的な聴覚型の間違いと思われます。

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2010年04月03日(土曜日)

ローフード/マクロビオティック

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100403kawag.jpg正統的マクロビオティックのカフェの店主から、調理スタッフを採用するときには、必ず玄米ごはんと味噌汁を作らせて面接するという話をうかがいました。

玄米ごはんを味見すれば、炊いた人の気質やその日のコンディションなどがおおよそわかってしまうというから怖いですね!
 
同じ手順で炊いても、玄米のエネルギーを高めておいしく作れる人と、逆にエネルギーを落として台なしにしてしまう人がいるのだそうです。

興味深かったのは、おいしくなれと念じながら炊くのは逆効果という話。どうやら作る人のエゴイズムが混じってしまうらしい。

自然の恵みに感謝しながら、無心に料理する。それが最も食材のもつ力を引きだせるポイントのようです。 

近年は、マクロビオティックをまじめに続けてきた人が、ローフードの概念を新たに取り入れるというパターンが増えているように思います。加熱調理が基本のマクロビオティックと、加熱してはいけないローフードと、正反対のアプローチなのですが。

マクロビオティックで基本的に体調が整ってきた人が、ある程度以上は良くならないという壁にぶつかったときに、ローフードを取り入れることでジャンプできることが多いんですよね。とある有名ローフーディストの女性に取材したとき、そんな体験談をお聞きしました。

興味を惹かれたことは試したくなるもの。ローフードの本を何冊か買いこんで、ほんの3日ほど実践してみたのですが、やはり体が冷えるのが難点。

冷蔵庫で冷やした食材はいっそう体を冷やしてしまうと聞いたので、常温にしておいた野菜や果実でサラダやスムージーを作ったのですが、ベッドの中で布団にくるまっていても、内臓がしんしんと冷えてくる感じ。冷気がおなかの中から全身にひろがっていくような感覚があるのです。

ローフードをきちんと続けていれば体質が改善されて冷えなくなるとも聞きますが、マクロビオティック的な視点から見れば陰性の食材ばかり摂取しているので、冷えて当然のように思えます。

やはり自分の体質と相談するのがよさそうと、朝はローフード+昼はマクロビオティック+夜はなんでもあり、という大変バランスの良い(節操のない?!)食生活に落ちつきました。

朝は、新鮮な果実やグリーンの野菜に含まれている、たっぷりのみずみずしい水分と酵素。昼は、じっくりと加熱してエネルギーを高めた根菜や豆類や玄米。夜は、外食することも多いので「おいしい」を最優先に。

理想的だと自画自賛しているのですが、この食事のあいまに人生最大の難問「素敵なおやつとコーヒー」が入ってしまうのが本当に困ります!

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2010年03月27日(土曜日)

bills横浜赤レンガ倉庫 オープン

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100326kawag.jpg
 写真:ビル・グレンジャー氏が手にしているのは
 新作のベリーベリーパンケーキ。


3月27日(土)、横浜赤レンガ倉庫2号館にbillsがオープンします。

シドニーで人気を集めるbills。2007年に代官山に期間限定でオープンして大きな話題になったあと、2008年、七里ヶ浜に初出店。現在でも週末には名物のリコッタパンケーキを目当てに行列ができますね。

待望の日本第2号店となる新しいbillsは、ひろびろ120席。内覧会の午後はあいにくの冷たい雨模様だったのですが、明るいテラス席からは海がすぐ目の前に見えて、初夏にはどれほど気持ちがいいだろうと想像をめぐらせました。

来日したビル・グレンジャー氏にインタビューさせていただきましたので、後日、All About[カフェ]でお伝えしますね。

こちらでは小さなこぼれ話を。子ども時代からクッキングが好きだったというビル。「初めて作った料理を覚えていますか」と訊ねたら、8歳の頃に中華風・鶏肉入りコーンスープを作ったと答えてくれました。

じつはお母さんは決してお料理が得意ではなく、少年ビルは女性雑誌に載っていたレシピを見ながら作ったのだそう。

おいしい一皿で、家族や友人など身近な人々を喜ばせたいというところからスタートしたビルの料理。赤レンガ倉庫店だけの新作メニュー「ベリーベリーパンケーキ」も、もともとビルが自宅で可愛いお嬢さんたちのために作っていたもの。お嬢さんたちには大好評だそうです。

リコッタパンケーキにはハニーコーム(蜂の巣入りのはちみつ)を練り込んだハニーコームバターが添えられ、いっそうの美味を生みだしています。新作のベリーベリーパンケーキには、ミックスベリーを煮て作ったシロップがバターに練り込まれて、新しいおいしさに!

朝9時から営業するので、このうっとりするほどふわふわのパンケーキを朝食にいただくこともできるわけですね。レオナルド・ディカプリオがシドニーのbillsに通いつめた気持ちがよくわかるのです。

bills 横浜赤レンガ倉庫
神奈川県横浜市中区新港1-1-2 横浜赤レンガ倉庫2号館1F
TEL 045-650-1266
OPEN 9:00~23:00、不定休
最寄り駅 みなとみらい線「馬車道」駅or「日本大通り」駅より徒歩約6分

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2010年03月19日(金曜日)

はずれも味わいのうち

東京カフェマニア主宰 川口葉子

100319kawag.jpg原宿で10年間親しまれてきたカフェ、BLISS(ブリス)が中目黒に移転しました。

BLISSは日本初のトラベルカフェ。店主の古閑さんは自分が世界中を旅した経験をもとに小さな旅行代理店を開き、あわせて、旅をしたい人、旅から帰ってきた人が情報交換のできる場所としてのカフェを設けたのです。店内には旅に関する本が多数並んでいて、貸し出しも可能。

  ▼TRAVEL CAFE BLISS(トラベルカフェ・ブリス)
  東京都目黒区青葉台1-17-2
  Tel 03-6416-1178
  Open 12:00~24:00、火休

なぜ、移転したのですかと訊ねてみたら、大きな節目の年を迎えてBLISSもまた新しい旅に出たかったし、この10年の間に人々の旅のしかたが全く変わってしまったといいます。

いまや、インターネットで検索すれば世界各国への旅行が予習できてしまう時代。実際に旅をしてきた人にわざわざ会って体験談を聞かなくても、パソコンの前に座ったまま、くまなく調べあげることができるのですよね。

もちろんそれは便利でありがたいことだけれど、旅する人の根底にあったはずもの--「旅ごころ」のようなものが消滅してしまった、と古閑さんは指摘します。

あらかじめどんな風景や食べものがあって、どんなトラブルが起きやすくて、という他人の情報で頭をいっぱいにして出かけると、なにを見ても予習済みのものばかりでドキドキしないんですよね。単に予習したものの確認をしているだけのような、心の振り幅の少ない旅。

なかには、旅に出なくても、もうその土地のことがすっかりわかったような気になってしまうこともあるでしょう。東京のカフェの情報も同じことです。これは私が自分の仕事として最も頭を悩ませる部分でもあります。

インターネット上で「あのカフェはまだ行ったことがないのですが、行った人どうでしたか?」と、度を越して確認したがる人を見かけることがあります。
そんなに時間をかけてみんなに聞いてまわるより、自分で行ったほうが早いし正確なのに、と不思議に思います。

たとえそのカフェがはずれだったとしても、東京では500円のコーヒー代と30分の時間を失うだけで、命の危険にさらされたりはしないのですから。お店を出たあとで「はずれだったよ」と笑って友人に報告して終わりにすればいいと思うのです。

無愛想なスタッフに、大きな固い音をたててテーブルにお水のグラスを置かれたおかげで、それまで普通だと思っていた行きつけのカフェのスタッフが、ちゃんと気をつけてグラスを置いてくれていたんだな…ということに気づけたりします。

でも、そんなはずれの体験を笑って終わりにしない人も、この10年で増えたように思います。10年の間に、人々がクレーマーに変貌してしまったようだと古閑さんは語ります。

「気持ちに余裕がなくて、イライラしている人が多くなったんでしょうね」

小さな欠点やミスにぶつかったら、相手に直接おだやかに伝えるか、もしくは笑って忘れるという選択肢を選ぶことが、私自身は精神衛生にとっても最も好ましいような気がします。

「みんなの旅ごころを取り戻していけるのかどうか、そんなことを新しいBLISSで模索しようと思っています」と古閑さん。
BLISSが旅行代理店であることを知らずに来店しているお客さまも多いのですが、それでOKなのですって。この日もスーツ姿の男女4人グループがテーブルを囲んでのんびりとミーティングをしていました。

「旅も、カフェも、自由になるためのツール」

かつてSHOZO CAFEを取材させていただいたとき、オーナーの省三さんはそう話してくれました。私も全く同じ意見。どんな時代になっても、そうでありますように。

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