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2007年03月04日(日曜日)

不都合な真実に、ハチドリのひとしずく

東京カフェマニア主宰 川口葉子

映画と本『不都合な真実』からはアル・ゴアのきまじめと言ってもいいくらいの誠実さが伝わってきますね。いま起きている地球環境の破壊の原因は私たち人間にあるのだということを、さまざまな数値を正確に、淡々と並べていくことで証明していきます。

映画を通してなによりも強い印象を受けたのは、アメリカではまだ「地球温暖化は人間のせいではない」と強弁する政治家や政府・企業おかかえのメディアがしぶとく生き残っていて情報を操作し、一般の人々に混乱を与えていることでした。だからアル・ゴアはあんなふうに、信頼できる数値や統計をたくさん集めて、正確な情報を与えられていない人々にむかって、環境破壊は私たち自身のせいなのだと証明しなければならなかったのですね。

070303kawag.gifアル・ゴアのきまじめさに好感を抱きつつも、もしも同じ素材をマイケル・ムーアが映画に料理したらどのようになっただろうかと想像せずにはいられませんでした。

マイケル・ムーアは自分が疑問を抱いた社会問題に対して、ベースボールキャップをかぶった陽気なデブ(失礼!)という外見をフルに活用し--誰だって、そのユーモラスな外見にはつい油断してしまいます--大胆なアポイントメントなしの突撃インタビューを重ね、痛快なドキュメンタリー映画に仕立ててきました。

たとえば、アメリカの高校で実際に起きた銃乱射事件を糸口に、銃社会を痛烈に批判した『ボウリング・フォー・コロンバイン』。この問題にほとんど関心を抱いていなかった私にも、その実態と、銃を手放そうとしない人々の心理が、マイケル・ムーアの冗談かと思うほど単刀直入なインタビューを通してストレートに伝わってきます。”陽気なデブ”からシンプルな質問を受けて絶句する銃賛成論者たちの姿に、快哉を叫ばずにはいられません。

ただし、次の作品『華氏911』はブッシュ大統領を批判する映像が、あまりにも強引にマイケル・ムーアの都合のいいように編集されていて、さすがにこれはやりすぎだと感じずにはいられませんでしたが。とにかく、もしこの人が『不都合な真実』を撮ったらさぞかし見物だったことでしょう。

さて、「人間が引き起こしたことだから、人間の手で解決できる」というアル・ゴアの力強いメッセージに対して、私たちはどのようにこたえていけるでしょうか? 私は友人の家で食卓を囲んだときに小さなヒントをもらいました。用意されたお料理をつまみながら楽しく時を過ごしたあと、帰るときになってお皿洗いを申し出たら、こんな言葉がかえってきたのです。

070303kawag2.jpg「あ、いいの。お皿洗いは好きだし、お湯でさっと洗うだけだから。お湯だとよく落ちるのよ」

彼女は生活排水による汚染を少しでも減らそうと、台所で洗剤を使わないことにしていたのです。そういえば用意してくれたお料理もたくさんの野菜を炭火で焼いたり、銀杏をあぶったりしたもので、ほとんど油が使われていませんでした。それでもお皿にちょっとした油が残ることがあれば、洗う前に新聞紙でお皿をぬぐっておくことで、お湯だけで充分に落ちるのですよね。

彼女は声高に「地球を守れ」と叫ぶことはしません。ただ静かに、自分のできることを最大限に実践しているだけです。彼女の暮らし方は、環境問題にまつわる名作絵本『ハチドリのひとしずく』そのもののように思えました。

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2007年02月25日(日曜日)

小さな妖精のおじさん(ジャージ着用)

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070225kawag.jpg最近友人たちとのメールでもちきりの話題、それは「小さなおじさん」です。あなたは目撃したことがあるでしょうか、身長10cm~20cm、緑色または黒のジャージを着た、妖精のおじさんを?! 

たんすのひきだしを開けたら、親指くらいしかない小さなおじさんがびっくりして振り向いた……バッグを開けてノートを取り出そうとしたら、バッグの中から小さなおじさんがぴょーんと飛び出してきて物陰に隠れた……畳の上で眠っていたら、小さなおじさんたちが集まってきて、髪の毛をガリバーのようにして畳の目に編み込まれてしまった……など、これ以上ないくらいばかばかしく、ゆえに、その光景を想像するとおかしくてたまらない汚b。

これまでにも、松任谷由美、釈由美子、岡田准一など多数の有名人が「小さな妖精のおじさんを見たことがある」という発言をしては、あきれられるか、つまらない冗談だと一笑に付されてきた歴史があるようですが、なんと私の身近にも目撃者がいました。

その友人によれば、どんな家にも小さな妖精のおじさんは必ずいる、とくに川口さんは常日頃お世話になっているはず、とのこと。
「探しものが出てきたら、小さなおじさんにお礼を言っておくといいでしょう」
どうやら、あるはずものがなくなっていたり、思いもよらない場所から出てきたりするのは、小さなおじさんたちの仕業らしいのです(笑) その説が本当なら、うちには小さなおじさんが軍団をなして1ダースくらいうようよしているかもしれません。

それにしても、なぜジャージを着ているのか、人間の家でなにをしているのか、それぞれに名前はあるのか、小さなおじさんは謎だらけです。

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2007年02月18日(日曜日)

熱のある日

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070216kawag.jpg風邪をひいて熱をだすときには、クセのようなものがありますね。ひとによっては、熱でダウンして寝ているあいだに、なにものかに追いかけられる夢をみるそうですし、私は熱がぐんぐん上がっている最中には、背骨に力が入らず、しゃんと座っていることができなくなって、軟体動物のようにぐんにゃりとベッドにまるまってしまいます。

3日前にとつぜん発熱と強い喉の痛みに襲われました。一日中ベッドの中でうなされながら眠っているか、枕を起こして、ぼーっとした頭で本を読んでいるかという状態で数日を過ごしたのですが、ふと天井を見上げたら、カドが異常にとがって見えることに驚きました。

部屋の四隅や柱、梁などのカドが、かつてないほどに鋭く、くっきりとこちらに突き出して見えているのです。こちらの身体がぐにゃぐにゃとしているおかげで、固い無機物の力強さに圧倒されがちなのでしょうか。しばらく新鮮な気持ちで、部屋じゅうのカドというカドを眺めて過ごしました。

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2007年02月10日(土曜日)

セドナの虹色

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070210kawag2.jpgこの写真はアリゾナ州セドナのパワースポットとして名高い4大ヴォルテックスのひとつ「ベルロック」で撮影したもの。空気の冴えわたった朝にベルロックに登って頂上にカメラを向けたら、左側に美しい虹色の光線が写りました。

ベルロックは遠くから眺めるとと、みごとな釣鐘型をしています。セドナの赤い岩山には、その形状から楽しい名前がついているものがたくさんあるのです。泊まったホテルのテラスからよく見えていたのは「コーヒーポット・ロック」。言われて見ればたしかに注ぎ口も取っ手もついていて、コーヒーポットそっくり。背後に雲がたなびいていると、まるでポットから湯気がふんんわりたちのぼっているよう。今回は見ることができませんでしたが、ティーポット・ロックもあるそうです。

有名なところでは、スヌーピーが昼寝をしている姿にそっくりの「スヌーピー・ロック」。ごていねいにもその左上には、意地悪なルーシーによく似た姿の岩「ルーシー・ロック」もあるんですよ。

070210kawag1.jpg右の写真はやはり4大ヴォルテックスのひとつ、カセドラルロック。息をきらして岩山をよじのぼらねばならないミニ登山コース(いえ、案内してくれた女性ガイドさんはかるがると登っていましたが)の終点から、さらにそびえたつ巨大な岩壁に沿って左側にまわりこむと、不思議に神聖な空気に満ちたこの地点にたどりつきます。岩肌に腰をおろし、目を閉じて静かに深呼吸を続けながら、大地の音を聞くことに挑戦してみました。

鳥のさえずり、頭上をゆく飛行機。それらの音を頭の中でひとつひとつ消していって、残ったのは巨大なガラスの鐘を叩いた残響のような、キーンという高音でした。耳の中で響いているようでいて、耳鳴りではない、澄みきった音色。

はたしてそれが本当に大地の音なのかどうか確かめようもありませんが、その音は、なぜか突然インドメタシン100%のスプレーを吹きつけられたように、とんでもなく爽快なびりびり感でいっぱいになってしまった首から背中にかけての感覚とともに、鮮烈な記憶として残りました。

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2007年02月02日(金曜日)

セドナ・風の音を消して

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070202kawag.jpgこのブログがアップされている2月2日金曜日には、おそらく私はセドナで満月を眺めているはずです。

ひょんなことから、パワースポットとして名高いこの土地を旅するになりました。どれくらい「ひょん」だったかと申しますと、飛行機の手配をするまで、私はセドナがアリゾナ州に位置することさえ知らず、どこの空港まで飛べばいいのかわからなかったんですよ。

「ヴォルテックス」とは、大地から強いエネルギーが螺旋状にたちのぼる場所のこと。セドナにはそんなヴォルテックスが点在すると言われていますが(詳しく知りたい方はこちらでどうぞ)、私はそういうったものをあまり感じないたち。それでもふっとセドナに興味が引きよせられたのは、セドナでは大地の音が聞こえる、という言葉を耳にしたからでした。

セドナの大地に立って耳をすまし、まず、吹き抜ける風の音を意識から消してみる。それから、鳥の声、遠くの車のクラクションなどを順番に消していく。そうすると最後に残るのが「大地の響き」なのだそうです。それは地球が回転する音? はたしてどんな音が聞こえるのでしょうか。私の耳は、それを聞き分けることができるのでしょうか。

写真はAmazonで購入した洋書『Sedona Hikes』。セドナにたくさんあるトレイル歩きのガイドブックです。

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2007年01月26日(金曜日)

お菓子と音のハーモニー

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070126kawag.jpg日本茶各種×スイーツの楽しめるカフェパステラリア五條で、顧問の小林さんにお話をおうかがいしたときのこと。
パステラリア五條の創作スイーツはすべて、パティシエールの市毛さんが手作りしています。なぜ、市毛さんをこのお店のパティシエールに迎えたのですかと訊ねたら、二人の出会いのシーンを話してくださいました。

晩秋のある日、シャトーレストランでおこなわれたウェディングパーティー。参列者はまず森のチャペルでの挙式で幸せなカップルを祝福したあと、落ち葉を踏みしめて別の建物まで歩き、おいしいものがずらりと並ぶパーティールームへと足を踏み入れます。

「そこで彼女の、パイ生地を使った一皿に出会ったのです。落ち葉を踏むさくさくという音と、パイ生地をいただくときの音が重ね合わされていたんですね。こんな素敵な演出ができるのは彼女しかいないと思いました」

小さなお菓子の中に、四季の音を聞く。それは釜のお湯がたぎる音を「松籟」と呼び、風が幾万もの緑の松葉を揺らして吹き渡る音を聞き取ってきたお茶の精神にも通じるものですね。

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2007年01月20日(土曜日)

「やる気」はどうして長続きしない?

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070119kawag.jpg101回目のダイエット。
究極のダイエット。
至高のダイエット。
ラストチャンス・ダイエット。
リベンジ・ダイエット。

これまでに私が宣言してトライしたダイエットの数々は枚挙にいとまがありません。最近では「ダ…」と言いかけるだけで恥ずかしくなってくるほど。
最大の問題は、やる気が持続しないことです。三日坊主どころか、ダイエット宣言をして3時間後には、はやばやとおやつの誘惑に負けているありさま。

「とことん、意志が弱いんだと思う」
友人にそうぼやいたら、ちょうど【やる気問題】を取りあげた本を読んでいたと言って、バッグから1冊の本を出して見せてくれました。目次の『なぜ、感情やヤル気は長続きしないのか?』という1行が目をひきます。ぱらぱらめくってみたら、こんな言葉が書かれていました。

モチベーションを燃やし続けられないひとは、決まってひとつの勘違いをしています。それは、感情というのは、放っておいても持続するものだという勘違い

なるほど、感情は本来、ロゼシャンパンの泡のように、グラスの底からたちのぼって楓ハに浮かんだら、小さくはじけて消えてしまうものなのですよね。感情は長続きしないものなのです。やる気も、愛も、放っておいたら自然に消えていきます。

では、感情を定着させるには? それは、感動を受けたらその場で行動に変えることなのだそうです。消えやすい感情は、形にすることではじめて自分のものにできるのだとか。なぜなら、何かに感動するというのは受動的な、与えられた体験。それを形に変えるというのは、自分から箔ョ的におこなう体験。

だから営業職のひとのなかには、お客さまに会ったその日に感謝の葉書を書いて送ることを心がけている人々がいるでしょう--本にはそんな例が挙げられていました。彼らはお客さまに好印象を与えるためだけにお礼状を送るのではありません。話を聞いてくださってありがたい……そんな感謝の気持ちを自分の中に定着させるためにこそ、お礼を書くという行動に変えているのだと。

なるほどなるほど。じゃあそのうち「やる気定着ダイエット」という新しいダイエットを開始するわね、と言って、私はその夜のお目当てのイタリアンレストランの扉を開け、一瞬にして本の忠告を忘れ去ってしまいました。本には、「そのうち」というのは決して訪れないからその場で実行しなさい、というアドバイスが書かれていたのです。

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2007年01月20日(土曜日)

「やる気」はどうして長続きしない?

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070119kawag.jpg101回目のダイエット。
究極のダイエット。
至高のダイエット。
ラストチャンス・ダイエット。
リベンジ・ダイエット。

これまでに私が宣言してトライしたダイエットの数々は枚挙にいとまがありません。最近では「ダ…」と言いかけるだけで恥ずかしくなってくるほど。
最大の問題は、やる気が持続しないことです。三日坊主どころか、ダイエット宣言をして3時間後には、はやばやとおやつの誘惑に負けているありさま。

「とことん、意志が弱いんだと思う」
友人にそうぼやいたら、ちょうど【やる気問題】を取りあげた本を読んでいたと言って、バッグから1冊の本を出して見せてくれました。目次の『なぜ、感情やヤル気は長続きしないのか?』という1行が目をひきます。ぱらぱらめくってみたら、こんな言葉が書かれていました。

モチベーションを燃やし続けられないひとは、決まってひとつの勘違いをしています。それは、感情というのは、放っておいても持続するものだという勘違い

なるほど、感情は本来、ロゼシャンパンの泡のように、グラスの底からたちのぼって楓ハに浮かんだら、小さくはじけて消えてしまうものなのですよね。感情は長続きしないものなのです。やる気も、愛も、放っておいたら自然に消えていきます。

では、感情を定着させるには? それは、感動を受けたらその場で行動に変えることなのだそうです。消えやすい感情は、形にすることではじめて自分のものにできるのだとか。なぜなら、何かに感動するというのは受動的な、与えられた体験。それを形に変えるというのは、自分から箔ョ的におこなう体験。

だから営業職のひとのなかには、お客さまに会ったその日に感謝の葉書を書いて送ることを心がけている人々がいるでしょう--本にはそんな例が挙げられていました。彼らはお客さまに好印象を与えるためだけにお礼状を送るのではありません。話を聞いてくださってありがたい……そんな感謝の気持ちを自分の中に定着させるためにこそ、お礼を書くという行動に変えているのだと。

なるほどなるほど。じゃあそのうち「やる気定着ダイエット」という新しいダイエットを開始するわね、と言って、私はその夜のお目当てのイタリアンレストランの扉を開け、一瞬にして本の忠告を忘れ去ってしまいました。本には、「そのうち」というのは決して訪れないからその場で実行しなさい、というアドバイスが書かれていたのです。

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2007年01月14日(日曜日)

教えない

東京カフェマニア主宰 川口葉子

070112kawag.jpg食いしん坊の知人に、和食のお店へ連れていっていただきました。
蘭オてあったのはカウンター席。おいしいお店では、作り手と直接ことばが交わせるカウンター席こそ最上というのが知人の持論で、その夜私たちは持論通りの楽しい時間を過ごすことができました。

白木のカウンターをはさんで私たちの前に立ったのは総料理長。17歳のときに料理の道に入ったという彼は、包丁を動かしながら、私の質問に答えて下積み時代の経験談を聞かせてくださいました。

厳しい師匠の教えは、いつも
「あれ持ってこい!」
だったのだそうです。
新人の彼には「あれ」が何なのかさっぱりわかりません。しかも、時と場合に応じて「あれ」が指すものはぜんぜんちがうのです。まごまごしていると、すぐに怒られます。

「俺が今、やっている作業をちゃんと見ていたら、次に何が必要かわかるはずだ!」

くりかえしそう言われ続けたことで、つねに師匠の動きを食い入るように真剣に見ていることになったし、次の段取りを自分の頭で考えるようになりましたから、結局はあの教え方に感謝しています、と総料理長はおっしゃいました。
「でも当時は、いつかこいつを殴って、店を逃げ出してやろうと毎日のように思っていましたけどね(笑)」

そんなお話を楽しんでいるとき、カウンター奥の厨房から現れたのが料理長。お椀の味見を総料理長に頼んでいます。総料理長は後ろに下がり、さしだされたお吸いものをちょっと口にふくんでひとこと。
「だめ」

料理長はうなずいてすぐに厨房に引き返しました。味に何が足りないとか、何が多すぎるとか、そんなアドバイスはまったくありません。ただ小さな声で不合格としか言わないのです。総料理長はかつて自分が教わった方法と同じ方法で後輩たちを教えているようでした。

「手取り足取り教えていたら、いつまでたっても自分の頭では何も考えませんから」

そのあと料理長がまた味見をしてもらいに現れましたが、再度「だめ」。箔o半島で採れた天然の岩海苔と甘鯛を具にしたお椀が私たちの前に登場したのは、3度の味見のあとでした。

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2006年12月23日(土曜日)

RAIN ON THE ROOF(三軒茶屋)

東京カフェマニア主宰 川口葉子

061223kawag2.jpgお仕事で三軒茶屋に出かける直前に、「新しいカフェをオープンしました」というメールが舞い込んできて、これもなにかのご縁と、夕方、仕事帰りに立ち寄ってみました。なによりもまず、その名前に惹かれたのです。RAIN ON THE ROOF。

裏通りにはまだ、名画座「三軒茶屋中央劇場」と「三軒茶屋シネマ」、そして銭湯がかろうじて残っていました。銭湯の塀に赤い鳥居のマークが描かれているのは、立ち○○をする不届き者への警告と思われます。(不届き者でも、鳥居にむかってするのは、さすがにはばかられるらしいのです) まぎれもない「昭和遺産」のたたずまい。

その名画座の並ぶ狭い路地をぐるりと回って、オープンしたてのカフェをようやくみつけることができました。カフェは築40年の一軒家の2階。1階では古くからの居酒屋が営業を続けています。ガラスの引き戸を開けて2階への階段をのぼると、新しいニスの匂いがふっと鼻先をかすめました。

高い天井と、むきだしの梁。
「まるで山小屋か納屋みたいだねと、改装する前のこの建物を見て、あるアーティストのかたがおっしゃったのです」

店長の中島さんが教えてくれました。そのアーティストとは、カフェと言葉が両方とも好きなひとなら、彼の本を1冊くらい持っているだろうと思われる有名な男性。美しい店名も彼が名付け親なのだとか。

061223kawag1.jpg「RAIN ON THE ROOFはラヴィン・スプーンフルの曲のひとつ。そういえばいい曲だよね、とそのかたがおっしゃって、店名につけてくださいました」

60年代後半のアメリカで活躍したラヴィン・スプーンフルの音楽は「グッド・タイム・ミュージック」と呼ばれていました。夏の草原で、跳ねるような夕立に追われて駆け込んだ納屋が、こんな居心地の良いカフェだったら最高ですよね。雨音もいきいきと聞こえることでしょう。

このカフェでは今後、気軽な”講座”がたくさん催されるそう。その第一回は大人気の中川ワニさんの珈琲教室(12月28日)。蘭ェ定員に達していてすでに参加錐桙ヘ締切ですが、カフェを貸し切りにはしないため、お店を訪れたお客さまなら誰でも、広いカフェの一角でなにか楽しげなことがおこなわれているという雰囲気は味わえるのですって。

You and me and rain on the roof
Caught up in a summer shower

        ~RAIN ON THE ROOF~

RAIN ON THE ROOF(レインオンザルーフ)
東京都世田谷区三軒茶屋2-14-22 2F
TEL 03-3487-8811

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