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2004年12月08日(水曜日)

女子カフェ、男子カフェ

東京カフェマニア主宰 川口葉子

カフェ風景041208
カフェの中には性別のはっきりしたお店があって、私はそれぞれを「女子カフェ」「男子カフェ」と呼んでいます。

女子カフェの魅力は、こまごまとしたかわいらしい雑貨と手作りのお菓子、ほんのり頬が上気したスタッフの繊細な風情。いっぽう、男子カフェのそれは、ラフでざっくりした空気と「メシ」と、窓からしのび込んでくる街の気配。

恵比寿の五差路に小さなトラの看板をつけたカフェがあります。こじんまりした規模ながら、ゆったりした空気の流れる男子カフェ。オーナーは目黒ファニチャー通りのカフェ「ハンナ」のオープン当初から関わってきた男性です。独特のやわらかな風情のある人ですが…

「ハンナの反動で、ここはこんなカフェに(笑)」

そう、ハンナは白く輝く美しい女子カフェ。何年もそこで働いているうちに、思いきり男子っぽい空間を作ってバランスを取りたくなったようです。でも、ふたつのカフェには素敵な共通点がありました。高橋ピエール氏のボサノバライブが行われること。高橋ピエール氏の名作「ハンナヌーヴォー」のCDジャケットを描いたのは、なんとこのカフェのオーナーでした。

10年前に吉祥寺のジャズ喫茶でいっしょに働いていたという二人。カフェを舞台に生まれた友情は、お互いの環境が変わっても、あたたかく続いているようです。

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2004年12月01日(水曜日)

金魚屋珈琲店

東京カフェマニア主宰 川口葉子

金魚迷路のような下町の路地裏に、11月の週末だけ営業するカフェが忽然と現れたと聞いて、ふたりで出かけてみました。どうも普通のカフェではないらしいのです。その名も「金魚屋珈琲店」。

消防車など入れそうもない狭い路地の一角。めあての建物は、一軒家…と呼ぶに呼べないバラック小屋でした。しかし、戸口には金魚を描いたチャーミングなのれんがかかり、中から何やら楽しげな話し声がもれています。

おそるおそる扉を開けると、店内はぎっしり満員でした! だって、喫茶スペースはわずか3畳。そこに4人が座ったらもう「ひしめきあう」という感じなのです。

気さくな女性店主が「よかったら二階をご覧になっていてくださいね」と声をかけてくれたので、階段…というより、はしごに近いモノをよじのぼって二階に上がってみました。四畳半一面に、美しい布で作られた無数の金魚たちが泳いでいます。その愛嬌たっぷりの姿。

一階のお客さまたちが去ったあと、ころげ落ちやしないかとドキドキしながらはしご段をおりて、金魚サブレをいただきました。展示されている金魚グッズを買った人にはコーヒーが無料でサービスされるのです。1枚150円の金魚サブレも対象のひとつ。プレーン味、ココア味のほかにトウガラシ味もあって、ふたりで3種類とも制覇しました。

コーヒーを淹れてくれた女性店主は、布素材を用いてさまざまなものをデザインする「はるる工房」さん。この建物はいったい何なのですかと尋ねると、「ドイツ人の先生のものなんです」。先生は沖縄の大学で教えていて、東京に滞在するときだけここに泊まるのだとか。粋なドイツ人ですね。でも、先生が寝起きのたびに低い天井に頭をぶつけていやしないかと心配です。

店内は水色にペイントされた大小の消火器だらけ。
「この消火器にはどういう意味が?」
「金魚に関係する<水>をあらわしているのです。本物だから、火事になったらちゃんと使えますよ」
なるほど、と膝を打った私のとなりで連れが言いました。
「この中がひとつの大きな金魚鉢なわけですね。私たちも金魚なんだ」

そうなんですよ、と女性店主はやさしく微笑し、連れは調子にのって泳ぐまねなどしていましたが、もともと謙虚な私は「脂肪たっぷりのあなたと私は、金魚というより、古池の巨大鯉じゃない?」とコメントしたい気持ちでいっぱいでした。

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2004年11月24日(水曜日)

多摩川のほとりのピースフルなカフェ

東京カフェマニア主宰 川口葉子

041124kawag.jpg晴れた日曜日の午後、多摩川べりの散歩に出かけました。秋の終わりの河川敷では、犬を散歩させる人々や、男性を散歩させる女性たち、魚につられている釣り人たちがそれぞれの時間を楽しんでいます。

土手をおりたところに、ざっくばらんな(?)作りの白い小屋がひとつ。噂に聞いた期間限定のカフェが「PEACE」の看板を掲げ、川にむかってパラソルと椅子を並べています。そのひとつに腰をおろし、グラスのシャンパンを注文してみました。

都心のカフェとはあきらかに違う空気感です。雑踏を足早に抜けてこのカフェのドアを開けた、というせわしないムードを背負っている人はいないし、携帯電話で仕事の打ち合わせをする人もいないし、いらただしげな口調の会話も聞こえてきません。座っている人々は本当にのんびりと川を眺めてリラックスしているのです。いつもならすぐに本をひろげる私も、気持ちのいい川風を深呼吸したり空を見上げたり。

PEACEの今年の営業は11月23日で終了。小さな黒板にはこんな文字が書かれていました。


約半年間、PEACEにお越しいただいた皆様、
どうもありがとうございました。
来期OPEN予定は4月下旬です。
あたたかくなってからの皆様のご来店をお待ちしております。
See you next year!

通りかかった犬をなでさせてもらったりするうちに、早くも淡い色のシャンパンの向こうに太陽が傾き始めました。野球の試合を終えた少年たちが、ユニフォーム姿でPEACEの前を横切って帰っていきます。

ピースフルな時間が名残惜しくなって、その日の夜、再びPEACEに戻ってきて夫と二人で夕食をとりました。小さなランプに照らされたテーブルでワインを飲んでいると、なんだか不思議な気持ちになります。
「どうしてこんなに落ち着くんだろうね?」
夫が燻製の牛タンを食べながら言いました。暗い川面、遠くの橋の上を通過する電車の窓のあかり。

お店の膝掛けを借りたのですが、さすがに食べ終わる頃は身体が冷えてしまって、食後酒にホットウィスキートディを注文しました。帰るときにスタッフが笑顔で言葉を添えてくれました。
「おうちに帰ってから、ちゃんとあったまってくださいね」

その言葉に、しっかりあたたまってしまったのです。

【2007年4月以降のPEACEのショップデータなど、詳細はこちらで!】
AllAboutカフェごはん「PEACE」…二子玉川


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2004年11月17日(水曜日)

カフェ俳句

東京カフェマニア主宰 川口葉子

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趣味でカフェのWebサイトを作り始めて4年。ときどき海外の読者からメールをいただくことがあります。
先日届いたメールはUS発。CAFFEINE SOCIETY(カフェイン・ソサイエティ)という小さな出版社をおこしたJeffrey Goldsmith氏からでした。

「東京カフェマニアが大好きです。CAFE HAIKUという本を作ったので、よかったらさしあげましょう」と英語で書かれた短いメール。返信を送って数日後、カリフォルニアから1冊の本が届きました。

洒落たデザインのページをめくると、右側にはカフェインのある風景を切り取ったモノクロ写真が、左側には3行の英文が並んでいます。CAFE HAIKUとは、そう、カフェ俳句だったのです!

カプチーノをよんだ一句、空になったカップについての一句、遥かな国の味がするチョコレート・マカロンについての一句。なかには古い木の椅子を眺め、光と影の中で座るZAZEN(座禅。アメリカ人にとっては東洋の神秘?)に思いをはせた句や、カフェイン的洞察を深める句もあります。たとえばこんな三行。

Caffeine makes context.
This world radiates from you.
Mind expanding cup.

直訳するとこんな感じでしょうか。

”カフェインが情況を作る。
 この世界はあなたが放射するもの。
 想いがカップをひろげていく”

これを日本語の五・七・五のリズムに翻訳するとどうなるのでしょう? 最近はカフェインを飲むたびにカフェ俳句の日本語訳を考えて遊んでいます。

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2004年11月10日(水曜日)

究極のおそうじ法

東京カフェマニア主宰 川口葉子

なにが苦手って、部屋のおそうじ。あまりにもきれい好きな母親に育てられた娘の常として、モノをきちんと整理整頓することが下手なのです。

夫は私に輪をかけて片づけられない人なので、いつも必要なモノが見あたらずに部屋から部屋へと探し回っています。貴重な人生の時間の半分を、探しものに費やしているような気さえします。

不思議なことに、女友だちも揃いも揃っておそうじの苦手な人ばかり。いっそ家事代行の清掃サービスを頼もうかなあと私がつぶやくと、みんな異口同音に言うではありませんか。
「私もお願いしたいけど、清掃の人に部屋に入られるのが恥ずかしいから、おそうじしなくちゃ」
ああ、類は友を呼ぶ…。

「どんなに部屋がごちゃごちゃでも、便器のふただけはちゃんと閉めるわ」
なんて妙なことを自慢する友人もいます。彼女によれば、風水では便器のふたを閉めないと運気が逃げると言われているのだとか。
「でも、風水の基本は家じゅうをきれいにしておくことなんだけれどね」
やれやれ、わかっていてもできないのが私たちの情けないところ。

おそうじに集中したあとの一服。

半年に1度くらい一念発起して家のすみずみまで大掃除をするのですが、天使が清めたような光り輝く状態をキープできるのはせいぜい1週間が限度。あとは、なし崩しに散らかっていくのです。

そんな私が、この夏ついに発見した究極のおそうじ法は、名づけて木を見て森を見ないハウスクリーニング!

コツはただひとつ。毎日、一か所だけをきれいにすること。たとえば「今日はキッチンの銀色の部分」と決めたら、シンクとガス台をパーフェクトに磨きあげ、天使の輪がうつるくらいぴかぴかにするのです。キッチンの銀色以外の場所にはいっさい目を向けてはいけません。清掃しなければならない場所の多さに気が遠くなるから。そんなわけで、「木だけを見て、森を見るな!」。森を見てしまったおろかな人には、開き直りという最悪の結果が待つだけです。

毎日そうやって木を1本ずつ磨いているうちに、あら不思議、森全体の風通しが良くなってきましたよ。ときどきさぼって元の木阿弥になりますが、30分間おそうじに集中したあとのお茶の一服の美味しさは格別です。

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2004年11月03日(水曜日)

Cafe Douce Ebis(カフェ・デュース・エビス)

東京カフェマニア主宰 川口葉子

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断食明けの身体にやさしいのは和のスウィーツでした。

恵比寿の魔のビーズ編み地帯(こんがらがってわけのわからない路地を私はこう呼びます)に登場した小さなお店、Cafe Douce Ebisでいただいた「黒みつキナコかん」。つややかな黒豆とキナコはいやみのないほんのりした甘さで、半透明のかんてんはすべらかに喉を通ります。

女性オーナーの鹿内さんは言います。
「カフェのスウィーツやお料理の素材には、北海道産の小麦粉や豆、乳製品を使っています。安全に食べられる国産のものを探したらそうなったのですが、実はわたしが北海道・札幌の出身だというのもありますね」

そんな鹿内さんにとって、カフェとはどんな場所ですかと訊ねてみました。
「カフェは元気を取り戻すための場所です。ちょっと先の未来についてゆっくり考えをめぐらせる場所。そこにおいしいコーヒーがあれば、と思うのです」

魔のビーズ編み地帯をくぐりぬけて訪れた甲斐のある、素敵な言葉ですよね。

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2004年10月27日(水曜日)

断食に挑戦!

東京カフェマニア主宰 川口葉子

見ないようにしていた体重計に久しぶりにのったら、目をおおいたくなる数値を示しました。学生時代よりたっぷり12kgは増えています。しくしく。レストランでの食事が好き、おいしいもの大好きの人間が、地道に毎日の食事をコントロールするのは本当に難しいですよね。

というわけで、先週は伊豆高原の温泉ホテルに滞在し、専門家の指導のもとで一週間のファスティング・プログラムにチャレンジしてきました。最初の3日間は断食!(関係ないけれど、ちょうどイスラム圏でもラマダンだとか) 断食の後の4日間はお粥などを食べながら、少しずつ普通の食事に戻していきます。

私の内臓は何十年ものあいだ一日も休まず過酷なマラソンを続けてきたわけですから、休暇がとれて大喜び。特に、つねにぎっしりと食べものを詰めこまれて必死で働いてきた胃などは、ぐうううう、と歓喜の声をあげ続けておりました。

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昼間はアロマテラピーを受けたり、緑ゆたかな美しい散歩道を歩いたり、海の見える露天風呂に入ったりして気がまぎれるのですが、夜の長いことといったら! 寝つけなくてお布団の中で百回も寝返りをうったすえに、あきらめて起き上がりました。持参した本を開いても文字が全然頭に入らないので、ロビー横の大きな書架に並んだ『美味しんぼ』をひたすら読むしかありません。ぐうううう。食べたいのはもちろんだけれど、お料理をしたくてたまりません。

いかに毎日、「誰とどのお店に行って何を食べようかな」「夕食は何を作ろうかな」と考えて時間を過ごしていたかがよくわかりました。食べることは手っ取り早いヨロコビなのです。ちょっとヒマだから何か食べる。空腹でもないのに、食事の時間になったから食べる。満腹なのに舌が味わいたいから食べる。

空腹の状態に慣れ、空腹感がどんなものかじっくり味わい、楽しみさえすること。それが今回、私が学んだ最大のポイントだったように思います。なにしろ今までは空腹が怖くて、ちょっとでもおなかがすくとすぐに解消しなくてはとあわてていたのですから。

断食をすると、怠惰な日常生活の中で眠りこんでいた野生の感覚が目覚め、嗅覚や味覚が敏感になるという話は本当です。一週間の最後の朝、ホテルの部屋から廊下に出たとたんに、階下のキッチンで料理が行われている匂いがすぐにわかりました。テーブルに並んだ朝食の、野菜本来の味をひきだしたほのかな甘みのおいしかったこと!

結果、体重は3.5kgマイナス、体脂肪率は3,2%減少しました。
「でも、これは身体の向きを180度変えたにすぎません。身体を目標の状態にもっていくためには、これからの3ヶ月をどう過ごすかなんですよ」と先生。とりあえず、野菜をふんだんにとれるマクロビオティック料理の本など買い込んでみました。

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2004年10月20日(水曜日)

見えない月に願いをかける

東京カフェマニア主宰 川口葉子

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伊豆大島に住む義母は野菜や花を育てるのが趣味。採れたヘチマで化粧水を作ってはおすそわけしてくれるので、お風呂あがりのボディローションとして愛用しています。

ヘチマの実を採るにはコツがあるのだそうです。それは月の満ち欠けに合わせること。
「ヘチマは満月の夜に収穫するのよ」
彼女は電話で言いました。
「満月の夜に採ったヘチマには、他の時期より水分がいっぱい入ってるの」

そういえば、満月の時だけ海水を採取して作られる自然海塩もありますね。ミネラルをたっぷり含んだ甘い塩だとか。昔ながらの方法で作物を育てる人々は、月のリズムが地上の生物に及ぼす力をよく知っているのでしょう。

ダイエットは満月の日から始めると効果があらわれやすい。そんな話を最近よく耳にするようになりました。新しいことに挑戦したり、計画の実現に向けて一歩を踏み出したりするには新月の日がいいとも。月が満ちていくように、私たちが力を注いだ物事も大きく育っていくのかもしれません。

新月の日には願いごとをするといいらしいですよ」

これは今日、藤が丘の小さな自家焙煎珈琲店「カヲリの木」の女性オーナーが教えてくれた楽しいおまじない。新月のときに自分についての願いごと(ほかの人が関わってくる内容は効果なしですって)を十個、書き出すのだそうです。

もちろん真偽のほどは試してみないとわかりませんが、新月のたびにあれこれと願望を思いめぐらすことで、自分が本当は何を望んでいるのか明らかになるかもしれません。そして、月の姿を気にとめながら生活することは、忘れがちな自然のサイクルをもう一度意識すること。

『カヲリの木』でおいしいコーヒーを飲んだ帰り道、途中下車して立ち寄ったアロマテラピーショップには、月の満ち欠けにあわせて飲むハーブティーが置いてありました。上弦、下弦、満月、新月の4種類。それぞれの時期の体調を整えるためにブレンドされたお茶です。

台湾には「月光茶」というお茶があり、月夜の晩に摘んで作られるそうですね。お茶と夜空の月、実は思わぬつながりがあるのかもしれません。

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2004年10月13日(水曜日)

お茶酔いほろほろ

東京カフェマニア主宰 川口葉子

台北の茶芸館の店員さん台風が過ぎても雨の日が続きますね。洗濯物がしゃきっと乾かなかったり、お気に入りの靴がはけなかったりするのが今週のみんなの悩みでしょうか。

悩みといえば、私の根源的な悩みは、お酒が私を大好きだということ。街を歩いているとワインやビールがしっぽをふって寄ってくるのです。日々親切を心がけている川口は、彼らの求愛をはねつけるのが気の毒でつい飲みすぎてしまうんですよ。

そんな私にも数年前、一滴もアルコールが飲めない友だちができたことがありました。カフェのソファに座ってワインを飲む私の横で、彼女は工夫茶スタイルで供された中国茶を何煎でも飲んでいるのです。

不思議なことに、ワインの酔いが回ってソファからお尻が3センチくらい浮きあがったような気分で話していると、彼女の笑い声もふわふわと高くなっていくのです。顔を見れば頬がほんのり上気して、まるでほろ酔い加減の人のよう。どうしたのとたずねると、彼女はうふうふと笑って言うのでした。
「わたしはお茶酔いするんですよ」

お茶酔いという言葉を聞いたのは初めてでした。中国大陸で、数億人がお茶に酔ってほろほろになっている壮大な光景を想像しました。

その後、台湾に茶藝館めぐりの旅に出かけましたが、台北市内の美しい茶藝館では誰も酔っぱらってはいませんでした。彼女は特異体質だったのでしょうか? たしかめようにも彼女はお菓子の勉強をしにイギリスに行ってしまいました。

先日ふとお茶酔いのことを思い出し、Tさんに携帯電話でメールを打ってみました。Tさんは今はなき代官山のカフェ・ラクダホテルの店長さんだった女性。カフェに講師を招いて中国茶講座を開いたことがあるのです。

「お茶酔いしたことがありますか?」
返ってきた返事は「ええ、ありますよ」
「本当ですか?! どんなふうに?」
「試飲を繰り返すと、胃がムカムカしてきますよね」
「え、ムカムカ…? 酔っぱらってごきげんになったりはしないのですか?」
「まあ川口さん! いったい何を飲んだのですか、ワクワク」

お茶酔いの正体はあいかわらず謎ですが、私にとってコーヒーがひとりで集中したいときの飲みものであるのに対して、中国茶は誰かと話したり黙ったりしながら時間の流れを楽しむときのもの。その意味では、お酒と同じ役割なのかもしれません。

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2004年10月06日(水曜日)

中国茶は雨の味

東京カフェマニア主宰 川口葉子

garden こんにちは、川口です。カフェで過ごす時間が好きで「東京カフェマニア」というサイトを作っています。起きている時間の半分以上は、コーヒーなりビールなり、とにかく飲みものをそばに置いていることに気がつきました。液体にひたっていると心やすまる私。きっと前世はストローかなにかだったのでしょう。

 目を閉じ、液体が舌の上を流れて喉におりていくのを感じていると、さまざまな風景が浮かんできます。それは子供のころ、ティーカップに注がれた紅茶を前に、ふと「湖のようだ」と思ったのがきっかけでした。
 紅茶が連想させるのは透明な湖の風景。いっぽう、コーヒーの味と匂いが連れてくるのは深い森。カップに鼻を近づけると、樹木と湿った闇の気配がたちこめてきます。

 ある種の中国茶はもっと直接的に、雨そのものの味がします。白茶を飲むと、地球の上空でこまかい水滴になって落ちようとする雨の味だと思うし、黒茶を飲むと、やわらかな黒土の上に降る夜の雨をたっぷり集めたような味だと思うのです。もちろん、実際に雨を飲んだことなど一度もないのですが。

 今朝も私は目覚めるなり液体を手にしました。「二日酔いのむかつきに」の整腸ドリンクです。じつは昨晩ワインにひたりすぎて、頭の中はぎっしりと砂の詰まったストローのようなのでした。トホホ。

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