
2009年10月16日(金曜日)
セレブ・デ・トマト自由が丘のトマトジュース飲み比べ
東京カフェマニア主宰 川口葉子
(スクリーンがトマト色ですね!)
人気のCeleb de TOMATO(セレブ・デ・トマト)が青山店、代官山店などに続いて自由が丘にも登場しました。
ファッションビル「Luz自由が丘」の3階にオープンした店舗は「セレブ・デ・トマト 自由が丘テラス」と名づけられ、店奥に気持ちのよいテラス席が広がります。
土曜日の夜に、前菜からデザートまでトマトづくしのディナーコースをいただきました。なんといっても、ヘルシーなイメージが強力なトマト。ちょっとくらい食べ過ぎても「身体に良いものを摂取した!」という免罪符が付いていますものね!
とりわけ楽しかったのは、食前酒がわりに注文したトマトジュース4種の飲み比べセット(¥1200)。10種類ほどの品種の中から、日替わりで4種類が小さなグラスに盛り合わされます。
プレートを運んできたスタッフが丁寧にトマトそれぞれの個性を説明し、糖度の低い順に時計回りに飲んでいくようにとアドバイスしてくれました。
4種のなかのひとつ、セレブ・デ・トマト自慢の「薫寿-Kotobuki-」というトマトジュースは、北海道産の高級フルーツトマト100%。
その甘やかな味わいは、思わずスタッフに「はちみつを加えていませんか?」と確認してしまったほど。一般的なトマトの3倍以上の糖度を持っているそうで、舌にはちみつのような後味が残るのです。それは本当に、野菜というより真っ赤な甘い果実。
メインのお料理は意外なほどオーソドックスで、むしろ、ドライトマトのアクセントが魅力的なスープと、一番人気の看板スイーツ「完熟トマトのブリュレ バニラアイス添え」が心に残りました。なんといってもトマト&アイスには、バルサミコソースの甘酸っぱく優雅な香りが素敵に相性がいいのです。
余談ですが、Luz自由が丘の1階には昨年イスラエルから上陸した死海の塩コスメブランド「SABON」の3店舗目がオープンしており、シャンデリアやキャンドルの美しいディスプレイが人目をひいて大変なにぎわいでした。
セレブ・デ・トマト 自由が丘テラス
東京都目黒区自由が丘2-9-6 Luz自由が丘 3F
TEL 03-6459-5822

2009年10月09日(金曜日)
コーヒーはジャズだ…福岡・passo a passo
東京カフェマニア主宰 川口葉子
新刊『京都カフェ散歩』(祥伝社黄金文庫・800円)は、1週間後に全国の書店のかたすみに並ぶ予定ですが、その本の中で、京都のカフェ・ピープルたちが口にした“コーヒー名言”をいくつか記しています。
コーヒーは飲む音楽だ。
そんな素敵な考えを話してくれたのは、コーヒーマイスターの資格を持つ若い男性スタッフでした。
コーヒーに関わる人々がそれぞれ一家言を秘めているのは、コーヒーが「なくては生きられないもの」ではなく、あくまで「人生にあったらちょっと嬉しいもの」だからでしょうか。嗜好品を仕事の対象として選び、真剣に向き合う時間が、さまざまな考えを育てるのかもしれません。
そして先週は福岡で、心に触れるコーヒー名言を聞くことができたのです。それは小さな美しいカフェ、abeki(あべき)がつないでくれたご縁。
abekiは昨年出版された拙著『カフェとうつわの旅』でご紹介した福岡・平尾にある名店ですが、そのabekiにコーヒー豆を提供している福岡の自家焙煎珈琲ショップ、passo a passo(パッソ ア パッソ)を訊ねる機会に恵まれました。
passo a passoとはイタリア語で「一歩ずつ」という意味だと、店主・鵜狩雅俊さんが教えてくれました。
鵜狩さんはジャズとともに生活してきた人。コーヒー豆が並ぶカウンターの奥には、左側に焙煎機、右側に多数のLPレコードとジョン・コルトレーンの写真が鎮座しています。
コーヒーはジャズだと思います。
鵜狩さんは気負わないようすで、さらりと言いました。焙煎もジャズの即興演奏のようなもの。毎日、お天気もコーヒー生豆も少しずつ条件が違うから、そのつど即興で最良の状態に仕上げていくのだと。
言われてみれば、音楽を演奏するという行為も、その場に居合わせて演奏を聴くという行為も、ただ一度かぎりで消え去っていくもの。その一回性と、焙煎の技術を駆使して品質を一定の振り幅の中におさめるというせめぎあいが、ジャズとしてのコーヒーの醍醐味なのかもしれませんね。
言ってみれば人生そのものがジャズみたいなもので…と鵜狩さん。彼はジャズのスピリットを抱いて生きているのです。
この素敵な自家焙煎ショップの店内には、音が豊かに柔らかく響くように、絶妙な角度で天井に向けてスピーカーが設置されています。passo a passoでは、コーヒー豆たちもジャズの音色を聴いて育つのです。
passo a passo(パッソ ア パッソ)
福岡県春日市小倉7-1 藤ビル
TEL 092-582-7575

2009年10月03日(土曜日)
ジャン・ポール=エヴァンの「テール・ア・テール」(土から土へ)
東京カフェマニア主宰 川口葉子
麻布の瀟洒な住宅街の一角にあるスタイリッシュなプライベート・ギャラリーでおこなわれたジャン・ポール=エヴァンの2009-20010コレクションに足を運びました。
つねにアーティスティックなクリエーションで私たちに驚きと喜びを与えてくれるエヴァン氏のショコラの数々。2009~2010年の中心テーマは「テール・ア・テール」(土から土へ=普遍的な基本にかえろう)。今年のノエルには、火・水・土・空気という4つのエレメントを表現した4種のケーキが登場します。
テーブルを小さな歓声で満たすその姿は、いずれも美しくもユーモラス。写真上の“レール(空気)”をイメージした「ビュッシュ レジュール」は、パリの空気のつまったショコラ風船に運ばれて、今にも空中に浮かび上がりそう!
写真下のケーキは“ラ・テール(土)”を表現した「テール」。クリスマスツリーのオーナーメントのような色鮮やかなショコラボールの中には、ボンボンショコラが閉じこめられています。リアルな切り株のような器も、もちろんショコラ製。
個人的には“ル・フゥ(火)”を象った「ビュッシュ フゥ」の、柚子のジュレがみずみずしく香りたつ華やかな味わいに最も魅了されました。10月10日から、新宿の伊勢丹などで予約受付が始まるそうです。
そうそう、偶然にも会場で下井さんと一緒になり、ママになられてもまったく変わらないスリムなお姿に感動しました!

2009年09月25日(金曜日)
おめでとうございます!
東京カフェマニア主宰 川口葉子

今週は、これ以外に書くべき言葉がみつかりません。
下井さん、とびきり大きな、とびきり可愛い男の子のお誕生おめでとうございます!
私たちが見ることのない世界を見て、私たちが知ることのない世界をつくりあげていく子どもたち。2009年生まれの子どもの中には、22世紀を体験する者もいるのでしょう。
きっとたくさんのお母さんが切実に感じていることだと思いますが、子どもたちに、今よりひどくないかたちで、地球のバトンが渡せますように。

2009年09月18日(金曜日)
村上春樹『1Q84』続編!
東京カフェマニア主宰 川口葉子
村上春樹のベストセラー『1Q84』は、発売前に予約だけで版を重ねたことでも話題になりましたね。
林真理子の日記には「ベストセラーになっているけれど、私のまわりには誰ひとり『1Q84』を読んだ人がいない」と、ちょっと皮肉まじりの調子で書かれていましたが、私も含めて、友人知人はその逆。
ベストセラーになろうがなるまいが村上春樹の新刊は読む、という筋金入りのハルキストが揃っています。だって面白いんだもの!
夫には新刊が出るたびに私が貸してあげるのですが、彼はふだんめったに“純小説”を読まないかわりに、ひとたび読み始めると、深く深く物語世界にはまりこんでしまうタイプ。
おまけにゆっくりと読むので、『1Q84』を読んでいる期間中は、私との日常会話にもたびたび1Q84のカケラが登場することになりました。
たとえば、二人で食事に行った帰りにふと夜空の月を見上げ、なにを言うかと思えば
「月はいくつある?」
と聞いてきたり、遠くで雷鳴がとどろき始めると(彼が読んだのは7月でした)「リトルピープルが来るよ~!」と騒いだり。(夫は小動物のようなもの、正体不明のものがみんな怖いのです)
そんな夫から、最もしつこく質問されたのが「リトルピープルって、結局なんの象徴?」と、「結末はもうひとやまあるかと思ったんだけど、これでいいの?」の2点。(いいの、と訊かれても…)
最初の質問に関しては、「読者が“いつまでも胸にひっかかりつづける、消えない不思議”として、何年もかけて自分で考えを深めていくのがふさわしいと思う」と答え、次の質問に関しては「『ねじまき鳥クロニクル』3部作の最終巻は、当初は2巻で完結していたものが、後年になって3巻が書き加えられたから、『1Q84』もきっとそうなると思う」と答えておきました。
そして昨日。 【村上春樹氏:『1Q84」を語る 「来夏めどに第3部」】と題した記事が! ただいまBOOK3を執筆中だそうです。
ほらね、と夫にさっそく自慢しました。ハルキストの皆さま、来夏の大きな楽しみができましたね。
その後、林真理子の日記にも自身が読破したことが書かれていて、「純愛小説にも思想書にもサスペンスにも読める村上春樹さんってやっぱり天才です」に変わっていました。

2009年09月11日(金曜日)
人生の価値は、思い出し笑いの数?
東京カフェマニア主宰 川口葉子

(デザインが完成したばかりの新刊の表紙)
10月10日に発売される著書が、2週間後に校了を迎えようとしています。
校了とは、校正作業をすべて完了して、著者としては作業がゼロになる状態。あとは印刷所におまかせです。
校了前になると、出版社と私とのあいだでゲラが何度か往復することになるのですが、なにしろ締切が迫っていますから、宅急便のやりとりでは間に合わず、バイク便のお世話になることもあります。
今日もそんな予定だったのですが、若くて可愛い女性編集者さんから「いま、会社の事務の者が手があいているので、1時間後に川口さんのご自宅まで再校ゲラをお届けにあがらせます」という連絡がありました。
そして約束の時間の直前、彼女から衝撃の報告が……。
「事務の者に、ゲラを持たせるのを忘れました!」
わざわざ神保町からうちまで、慣れない電車に乗って来てくださった事務の人は手ぶら!
申しわけないけれど、大笑いしてしまいました。とりあえず、私が赤字で校正を入れておいた初稿を持ち帰っていただきました。
そんなわけで結局バイク便のお世話になったのですが、編集者さんは泣きながら「思い出し笑いの数で人生の価値が決まるといいますから、今日のことはそのひとつにします」と、自分をなぐさめていました。

2009年09月04日(金曜日)
『一個人~横浜を旅する』カフェ特集
東京カフェマニア主宰 川口葉子
月刊誌『一個人』の臨時増刊号『開港150周年・横浜を旅する』(2009年 08月号)で、『元町・山手のカフェ散歩』特集の監修をさせていただきました。
横浜文化はとても濃く豊か。誌上でも、ペリーの来航から開国への歴史、文明開化のハイカラなものたち、ジャズ&バー、横浜中華街の伝説の料理人たち、優雅な洋館めぐり、大衆居酒屋飲み歩きなど、大人の読者が楽しめる充実したページが展開されています。
日本初のパン屋さんは、横浜の内海平吉さん。フランスの軍艦に乗っていたコックさんからパン作りの手ほどきをうけたのだそうですね。
はじめは「パンだか焼き饅頭だか、なんだかわけのわからないもの」ができた、と本誌のページに書かれています。
そしてまた、日本人として初めてのアイスクリーム屋さんがオープンしたのは横浜・馬車道。当時のアイスクリームのお値段は、女工さんの月給の半分だったそう! 氷を函館から船で運んでいたために贅沢品となったようです。
レストランにもエアコンなどなかった時代のこと、テーブルに運ばれるやいなや溶けはじめる、夢よりもはかなく美しいアイスクリームだったことでしょうね。
カフェ特集では、有名老舗カフェから新しいカフェまで、たっぷり8ページご紹介しています。書店でみかけたらぜひ手にとってみてくださいね。Amazonなどインターネットでも発売中です。

2009年08月29日(土曜日)
追悼 赤塚不二夫展
東京カフェマニア主宰 川口葉子
松屋銀座の8階で開催されている「追悼 赤塚不二夫展-ギャグで駆け抜けた72年」を観てきました。
祖父江慎による会場デザインが素晴らしくて、ただ原画を並べるだけにとどまらない、おもしろい展示になっています。
赤塚不二夫はどれだけ漫画の枠をはずして遊べるかに挑戦していたのですね。その大胆な遊びの数々には本当に驚かされました。
そしてまた、それを許して掲載した編集者や出版社も、なかなか度量が大きかったのだなと思います。なにしろ、「読者のみなさんが読みやすいように」って、「ナシ」とだけ書いてある空白のコマが続いたりするのです!
ひときわ人だかりができていたのが、有名人たちの「シェーッ!」の写真。YMOの3人それぞれが「シェーッ!」のポーズを決めているほか、矢野顕子、山下洋輔……さまざまな方々が、それぞれの「シェーッ!」をじつに楽しげにおこなっています。
漫画家の方々が描いたポーズもあり、島耕作の「シェーッ!」はみごとな違和感で笑わせてくれました。
左の絵はがきはバカボンのパパのおでかけスタイル。何十年前に描かれたものかは不明ですが、レギンスといい、髪をたっぷり盛って(?)いる点といい、現在流行のファッションとよく似ていますね。“つけまつげ”もばっちりなのです。
ちなみに、こんな解説が書いてあります。
つけまつげはもうジョーシキよ!
はな毛をぬいて作ってみてネ!!

2009年08月21日(金曜日)
ぶぶ漬け伝説と「築地」のこと
東京カフェマニア主宰 川口葉子
京都で「ぶぶ漬けでもおあがりやす…」と言われたら、「早く帰れ」のサインだというのは、落語から生まれた都市伝説なのですが、まことしやかに流布されるこのたぐいの伝説はあとをたたないようです。
ある夜、祇園の「いづう」の店内で、鯖寿司からはがした分厚い昆布を噛みしめていたら、30歳前後のカップルがレジのところで、お店のおばさんにおそるおそる、といった感じで質問を始めました。
「京都の飲食店では、お店の主人に外までお見送りされたら “二度と来るな”という意味だと聞い
たんですけど、本当ですか?」
おばさんは笑って「そんな話、はじめて訊いたわあ」と否定し、もう一人のおばさんにも同意を求めました。カップルは胸をなでおろして帰っていきましたが、この光景は観光客が京都に対して抱いている不安をまことによく表していると思います。
京都の街には、自分のあずかり知らない不文律が網の目のように張りめぐらされていて、知らずにそれを破って後ろ指をさされ、笑われているのではないかと。
カフェはそのような心配のない場所。そこではいちげんさんも、常連客もコーヒー1杯分のおもてなしを受けることができます。おそろしく無愛想なおじいちゃん店主がいるのもまた愉しく、「コーヒー」と注文すると生クリームを浮かべたウインナーコーヒーが出てくるのも軽いカルチャーショックです。
有名なレトロ喫茶なので、ご存じのかたも多いでしょうか。「築地」のことです。店名は築地小劇場からとったのですって。

2009年08月16日(日曜日)
心が外へ出ていくと…
東京カフェマニア主宰 川口葉子
今年は虹の当たり年ですね。しかも、「副虹」と呼ばれる二重になったダブル・レインボウが多く、今朝も夜明けともにこんな虹があらわれました。
虹を見あげながらふと思い出したのは、つい先日出会って、目からうろこの落ちる想いをした、こんな言葉です。

われわれは無知ゆえに、
ものごとから幸福を得るものだと思っている。
心が外へ出ていくと、不幸を体験する。
心の願いが満たされたとき、
実は、心は自己本来の場所に戻っており、
真我である幸福を楽しむのである。
つまり、心は本当はいつも静けさに包まれた幸福を持っているのに、あれが足りない、これが足りないと、外側に要求することによって、満たされないという不幸を体験する、というわけですね。虹がしだいに薄れて消えていくのを眺めながら、虹は私の中にある、と思っていました。